洋画部門総評 松田忠三日本美術家連盟会会員

応募作品は昨年より減少し、一寸寂しい感じが致しました。しかし反面出品作品は、作者の描こうとする想いが意欲的で昨年よりは充実した作品が多く好感が持てました。受賞から外れた作品の中に数点割愛しなければならなかった作品があり残念に思いました。ぜひ来年を期待していますのでご努力希いたい。

市展賞『岩間の石仏』内山英二

2点の出品はいずれもじっくり描き込み、石仏の表情も豊かな佳作でした。壁面の都合で空間の広がりのある方を選びました。

奨励賞『樹下の春』黒川優子

画面構成と人物の描写が達者です。背景は乱暴な点もありますが色面に活力があり好感が持てました。

奨励賞『待春』佐藤恒次

三点出品で制作意欲が充実していました。受賞作品は平凡な風景を良くまとめています。特に画面上部の木立の描写が上手い。

奨励賞『船溜り』廣田孝

乱暴な画面づくりですが、色もこなれ、勢いがあって成功しています。

奨励賞『静物』中林正

平凡な構成ですが、誠実に描いています。もっとモノの配置、重なり、動きに工夫が欲しいなと思いました。

奨励賞『仲間たち』大滝ちい子

人物の形、画面処理が概念的な点が気になりますが、絵を描く喜びが伝わってくる作品でした。