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三条の一級建築士小林さん、にいがたユニバーサルデザイン住宅コンペA部門で優秀賞 (2005.4.24)
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一級建築士(有)フォーラム経営小林哲也さん(44)=三条市月岡1=は、このほど県など主催の平成16年度にいがたユニバーサルデザイン住宅コンペA部門(既存住宅部門)で優秀賞を受賞した。
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平成16年度にいがたユニバーサルデザイン住宅コンペA部門で優秀賞を受賞した小林さんの「いつまでも生活者であり続けること ちいき生活工房からの提案」
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三条市内で設計、昨年5月から8月まで増改築工事行われた木造平屋建て住宅で受賞した。夫婦2人が暮らす住宅に両ひざを痛めて車いすの生活も予想された母が同居することになり、ユニバーサルデザインに配慮した設計を求められた。
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優秀賞の賞状
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受賞作品の設計図(画像をクリックすると新しいウィンドウで設計図の拡大を表示)
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小林さんは、県内で約200人の会員がある福祉住環境コーディネーターネットワークの代表も務める。住宅から高齢者のサポートを考える同ネットワーク。設計にあたっては横田剛県作業療法士会理事と連携し、建築と作業療法士のそれぞれのプロの視点から、この家庭の生活環境にふさわしいユニバーサルデザインを構築した。
あまり介護住宅的なものにはしたくなかったという小林さん。一見するとふつうの住宅にさまざまな仕掛けを組み込んだ。移動の安全確保と排せつ、入浴の自立という基本を確保したうえで生活の質の向上を目指す福祉住環境の整備。ひとつに、床のフローリングにキリを使った。
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低い段差は車いすになっても介助者が楽に上げることができる
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リビングから寝室まで一直線で結ばれる
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冬は寒いからとスリッパをはいていて転ぶケースが多いが、キリはスリッパをはかなくても暖かい。おまけにキリの柔らかさが足裏への衝撃をやわらげてくれ、願ってもない素材だった。
煖房には輻射熱煖房を採用して住宅性能を上げ、扉を開けても暖かい開放的な空間を作った。壁には消臭壁材、ゼオライトエコナ。また、小林さんが“キューブ”と名付ける方形の組み合わせによるシンプルな設計で自由な空間をもたらす設計思想も盛り込んでいる。
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おばあちゃんも料理する開放的なオーダーキッチン
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腰壁は車いすの保護用、見切りは手すりにもなる
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車いすでアプローチ可能なトイレ、手前の手すり壁は入浴時のベンチにもなる
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住宅コンペA部門は、既設住宅を紹介するパネルによる審査で、約40件の応募があり、最優秀賞1点と優秀賞4点が決まった。「コンペがあるというので、出してみようかと思いました」と小林さん。「いつまでも生活者であり続けること ちいき工房からの提案」のテーマで応募した。
今回の設計について小林さんは「私の考えをそのまま形にしただけ」、これに限らず設計は「無理せず、楽してやりたい」とあくまで自然体。「建物は地域の文化ですから、材木などの素材は地元で手配し、仕事をできるだけ地域で回したい」と、住宅の新たな価値観の創造に思いをめぐらせている。
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