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30日まで三条市歴史民俗産業資料館で13年ぶりに三条市出身の染色工芸家、広川松五郎を特集した企画展 (2011.1.10)
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三条市歴史民俗産業資料館では、8日から30日ま広川松五郎展を開いており、昭和初期から中央で活躍した三条市出身の染色工芸家、広川松五郎(1889-1952)が残した幅広い作品や資料から松五郎の偉業や人柄まで多面的に紹介している。
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30日まで三条市歴史民俗産業資料館で開かれている広川松五郎展
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松五郎の絵画13点、工芸11点を展示しているほか、松五郎が手掛けた布で表紙を飾った装丁本8冊、1937年(昭和7)にデザインした三条市立四日町小学校の校章「三蓋松(さんがいまつ)」をデザインした校章、由緒入り額、模型も展示している。
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松五郎デザインの四日町小学校の校章「三蓋松」の由緒入り額
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松五郎は三条町三之町(今の三条市本町5)に生まれ、三条中学校(今の三条高校)を卒業後、東京美術学校図案科に入学し、与謝野鉄幹、晶子夫妻のもとで短歌に親しみ、『明星』をはじめ夫妻の作品集の装丁も手掛けた。
短歌を通して同校鋳造科の高村豊周と出会ってさまざまな活動を行い、豊周の兄、詩人で彫刻家の高村光太郎と親交のあった、宮沢賢治の『春と修羅』の装丁も手がけた。
帝展をはじめ数多くの美術展で入選を重ねたのち、帝展、文展、日展の審査員も務める美術会の重鎮に。1935年(昭和10)には東京芸術大学工芸家の教授に就任するなど、後進の育成にも力を注いだ。地元では故郷へ戻って後進を育てた日本画家、広川操一(1894-1983)のいとことしても知られる。
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松五郎の作風を象徴する「手織つむぎ友禅壁掛」
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同資料館で松五郎を特集するのは、13年ぶり。展示しているなかで松五郎の作風を最も象徴するのは「手織つむぎ友禅壁掛」だろう。4幅の軸が横に並んだような形の縦299ミリ、横148ミリの大作だ。一見すると4幅が同じ構成に見えるが、描かれている葉やフクロウは1幅ごとになる。それでいてそれぞれが反発せずに調和している。
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羽織の裏地に使われた南蛮船を描いた「春風萬開」
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当時は基本的に額入りを前提に染色作品を制作することはなかったと思われる。「春風萬開」は羽織の裏地に使われたものを裁断して額に納めたユニークな作品。「2600」とあるのが皇紀2600年(1940)のこと。「南蛮船」とあり、ドイツ船がモチーフだ。
イラスト風の軽快な描写で、旗にはハーケンクロイツのかぎ十字が描かれ、デッキには金髪の異国人、船の側面に並ぶ大砲のひとつは大砲が発車した様も描かれており、抽象化された波の描写も軽快だ。
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「革染三曲衝立」
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一対の「染色 春・秋」は、春にはウメの花やタケノコ、秋にはザクロやブドウの実が描かれ、これも屏風から切り取って額に納めたと思われる。表に獅子(しし)、裏に鵜(う)を描いたついたては、デザイン的な完成度が高い。松五郎の染色はろうけち染めや友禅が中心だが、「革染三曲衝立」は、革の上に筆で着色したと思われる。
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与謝野晶子の『旅の歌』
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宮沢賢治の『春と修羅』
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松五郎が手掛けた装丁本は、与謝野晶子の『旅の歌』や宮沢賢治の『春と修羅』の作品を展示。古いものは大正時代の出版で、松五郎が染色家として大成する以前に商業作品として依頼を受けえ制作し、実績を重ねたようだ。
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松五郎が源川万吉にあてた書簡
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絵画のうち、「勝魚」は2尾のカツオを描いた作品。あわせて松五郎がこの作品の表層について三条商工会議所の第2代会頭となった実業家の二代目源川万吉にあてた手紙を展示しており、表装に満足していないことや少し前に流行した丸文字を思わせる読みやすくやわらかい筆跡に松五郎の人間味もうかがい知ることができ、最後に金粉や金箔(きんぱく)が手に入らないことも付け加えてあり、戦火で金属が不足した時代も感じさせる。
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歌をつづった「故郷春」
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「うまれたる里の河原のつくつくし つくつく見つつさりかてぬかも」と自詠の歌をつづった書も空間を生かしたしなやかな運筆が印象的。この歌を刻んだ歌碑が菩提寺だった三条市東裏館1、善性寺に残っているほか、五十嵐川堤防にも歌碑がある。
また、これにあわせて広川操一と、操一と同じ時代に活躍した三条市出身の日本画画家で名誉市民の岩田正巳の軸も展示している。午前9時から午後5時まで開館、休館日は月曜と月末日で、月曜が祝日の場合は開館し、その翌日は休館。入館は無料。問い合わせは同資料館(電話:0256-33-4446)へ。
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