燕のご当地映画『アノソラノアオ』の撮影が24日から燕市内で行われており、制作のアイエス・フィールド(島田豪代表取締役・東京都渋谷区渋谷3)は28日、燕市に避難している福島県南相馬市の人たちを撮影現場の見学に招待した。
燕市が燕・弥彦消防本部防災センターに設置する避難所から十数人が見学に参加。「LUCKY WOOD(ラッキーウッド)」のブランドで世界に知られる1868年創業の洋食器メーカー、小林工業株式会社(小林貞夫社長・燕市南5)での撮影を見学した。
ここでは主人公の父が工場でスプーンを研磨しているシーンが撮影され、父役は三田村邦彦さん。胸に「LUCKY WOOD」と刺しゅうのある作業着を着て研磨機の前に座り、頭のすぐ上の蛍光灯に照らされた三田村さんは、すぐに三田村さんとわからないほど工場内の風景に溶け込み、研磨職人の雰囲気もかもし出していた。
避難している人たちから「『渡る世間は鬼ばかり』で見てますよ」と声をかけられた三田村さんは、「え?。出てませんよ。わたしはずっとここで働いてますから」ととぼけて笑わせた。
さらに、三田村さんは鏡のように磨き上げられたスプーンを説明したり、「爪の中が汚れると取れないんですよ」と研磨の苦労話を話して聞かせたりして、役作りは完璧。撮影の途中の気分転換になったのか、「それではショールームをご案内しましょう」と自ら避難してる人たちを引率してショールームへ移動し、金のスプーンなどを小林社長と一緒に説明していた。
三田村さんのファンはやはり女性でと目はうっとり。「きょう本当に来て良かった」とご機嫌で、三田村さんと腕を組んで歩く人もいた。
この日は燕市南4、玉虎堂製作所でも撮影しており、工場の内部は小林工業、外観は玉虎堂製作所を使うようだ。小林工業は以前にドラマ「ジャック・アンド・ベティ物語」の撮影に使われたことがあるが、映画は初めて。小林社長は、ドラマでは「旧工場を撮ってくれてね。残ってくれてありがたかった」と言い、今回の撮影も同社の歴史が映画作品の一部に残ることを喜んでいた。