三条市の食と農の連携協議会「三条まんま塾」と県は9日、三条市総合福祉センターで「食と農で元気アップ講座〜食品の裏側〜」を開き、いかに食品添加物が大量に使われているかを訴える食品ジャーナリスト、安部司さんが講師の基調講演を270人が聴講、続く地産地消バイキングを110人が味わった。
安部さんは1951年福岡市生まれで、山口大学文理学部化学科卒業後、添加物商社に勤務。2005年、『食品の裏側―みんな大好きな食品添加物』を出版して70万部を突破するベストセラーになり、全国で年間150回を数えるほどの講演活動を行っている。
安部さんの講演が注目されるのは、何と言っても実演だ。机に添加物や着色料、香料が入った小瓶をずらりと並べ、実際に添加物を使う職場で働いた経験からそれらを調合して実際に店先に並んでいる食品の味を再現する。
植物性油に乳化剤を加えてコーヒーフレッシュを作り、さらにそれをマーガリンへ、マヨネーズへと作りかえて見せた。ジュースや豚骨スープを作ったり、タクアンの色をきれいにしたり。粉末などをまぜていくだけで食品が生まれていくようすを目の当たりにした。
さらに添加物には、発達障害のリスクのある着色料が使われていたり、遺伝子組み換え作物が使われていたり、天然といっても虫の死がいから抽出したものだったりすることを解説。会場は「えーっ!」、「いやーっ!」というどよめきが起こることもあった。
食品の表示ラベルにもおびただしい数の添加物が書かれており、保存料を不使用と表示しながら保存効果のあるph調整剤を使っている表示のからくりも明かした。
安部さんは、日本は世界でもいちばん多い4700種類もの食品添加物が使われ、この7年間でも60種類くらいが新たに認可されたことをあきれながら紹介。食品添加物が多く使われた弁当を食べると早産になる可能性が高くなると言う。
添加物の働きは安い、簡単、便利、きれい、味が濃いの5つにまとめて説明。油と塩と砂糖は摂りすぎ3きょうだい、塩、化学調味料、塩酸は添加物の黄金トリオと記憶に残るネーミングで示した。
安部さんは九州弁で漫談のようにおもしろおかしく話し、来場者を引き込んだ。一方的に食品メーカーをやり玉にあげるのではなく、「それが便利だったんでしょ?、楽だったんでしょ?」、「日本人は世界でいちばん農薬と添加物が大好き」、添加物が多用された食品を食べるのは「強制じゃないですよ!選べるんですよ!」、「わたしたちの優先順位がおかしい」と、消費者も食品会社の添加物使用に加担してきたことを指摘。「巻き込まれるのは子ども」、「子どもは選ぶことができないんです」と親やおとなの自覚、責任を強く求めた。
最後も「何を食べればいいんですかと言われますが、大丈夫です。会場の外に出たらすぐに忘れますから」とシニカルなジョーク。聴講した人たちは添加物が大量に食品に使われている実態にまゆをひそめながらも「ここまで添加物が使われているとは思わなかった」と驚くと同時に「結局、自分たちが選んできたんだし」と複雑だった。
続いて行った地産地消バイキングは、三条市内の「Vege Table」、「越前屋ホテル」、「BISTRO NIPUL」、「Mameya」、「魚家 ToToYA」の5店が地産地消にこだわって調理した7品を味わった。耳をふさぎたくなるような添加物の話を聞いたあとだが、まったく心配せずに口に入れることができた。
しかも各店の料理が並ぶバイキング形式だけに、各店の料理にも力が入るのは当然。参加費は1人1,000円だったが、「麩の揚げ煮」、「大箭農園ロマネスコのコンフィサラダ」、「小松菜としいたけのわさび和え」など、店ならその2倍くらいはしそうな豪華料理。「優しい感じでおいしい」、「こういうものを食べればいいんだけど」とそれぞれの食生活も見直していた。
Mameya「麩の揚げ煮」 |
越前屋ホテル「大箭農園ロマネスコのコンフィサラダ」 |
Vege Table「小松菜としいたけのわさび和え」 |
Vege Table「鶏肉と根菜のごまみそ煮」 |
Mameya「おからサラダ」 |
BISTRO NIPLU「甘豚のローストポーク」 |
魚屋 ToToYA「ネギトロのロール白菜」 |