燕市教育委員会は、県のほ場整備事業に伴う排水路整備整備に伴って6月下旬から燕市渡部地内で力ノ尾(りきのお)南遺跡の発掘調査を行っており、古代から中世にかけての遺物が数多く出土している。
力ノ尾南遺跡は、国上山側から渡部橋を渡った大河津分水の左岸側で、山すその一帯。山すそに沿って排水路があり、その整備に伴う発掘調査。幅2.5メートル、長さ約150メートルの区間の排水路を毎日、十数人の作業員で調査している。
強い雨が降ると滝のように水が流れ落ちる沢の部分で、古代から中世、9世紀から13世紀くらいの黒い地層で集中的に遺物が出土している。その場所で生活していたとは考えにくく、沢の上で暮らしていて、そこから流れ落ちてきたものが堆積したと想像できる。
遺物の大半は土器の破片で、須恵器や製鉄の残りかすの鉄滓(てっさい)、比較的珍しい横瓶(よこべい)の破片、さらに魚をとっていたことがわかる網につける素焼きの重り、土錘(どすい)もいくつも見つかっている。木炭のような堅い炭も出た。
柱材も2つ見つかり、その近くに柱穴も見つかり、住居とは考えにくいが、人為的な介入の痕跡があり、何らかの構造物があったと思われる。
担当者によると、今のところ事前調査などで得た予想を大きく裏切るような発見はないが、山すその地形を利用した生活風景が見えてくると言う。調査はようやく半分を過ぎたところで、これから遺構の調査にも力を入れる。