弥彦で自選最後の天野尚写真展「創造の原点」、集大成の176点を公開 (2015.9.4)

取材依頼・情報提供はこちら

胃がんのため8月4日に61歳で亡くなった世界的な写真家、天野尚(たかし)さん=新潟市西蒲区・旧巻町=が自身でプロデュースした最後の写真展「創造の原点」が5日から10月12日まで弥彦村総合コミュニティーセンターと弥彦の丘美術館の2会場で開かれる。

弥彦村総合コミュニティーセンターと弥彦の丘美術館の2会場で開かれている「天野尚写真展 創造の原点」
弥彦村総合コミュニティーセンターと弥彦の丘美術館の2会場で開かれている「天野尚写真展 創造の原点」

開幕前日の4日、弥彦村総合コミュニティーセンターで内覧会が開かれた。関係者ら数十人がが出席し、天野さんに黙とうをささげた。小林豊彦村長はあいさつで、天野さんは亡くなる直前まで出品作品を選び、配置にまでこだわったと聞き、「天野さんのこの展覧会に対する執念ともいえる熱い思いを強く強く感じる」。天野さんの作品を目の当たりにしたのは初めてだが、「感動し、感激し、そして残念に思った」とその死を惜しんだ。

内覧会で天野さんに黙とうをささげる
内覧会で天野さんに黙とうをささげる

天野さんが社長を務めた水草栽培関連メーカー「アクアデザインアマノ」=新潟市西蒲区 =の大岩剛専務は、天野さん自選の作品展はこれが最後となるが、「競輪選手時代からご縁があり、また地元新潟の自然をこよなく愛してきた天野にとってこの弥彦という地で最後の写真展が行われるのは幸せなこと」で、「病魔と闘いながらも情熱的に写真を撮り続けるその姿勢にもまた天野の創造の原点を見ることができる」と話した。

弥彦村の小林村長
弥彦村の小林村長

天野さんは元競輪選手で、1975年からアマゾン、ボルネオ、西アフリカの世界三大雨林や日本の原生林を訪れ、8×20インチ(約20×50センチ)もの超大判フィルムで自然のありのままの姿を細密に記録し、国内外で高い評価を得た。

アクアデザインアマノの大岩専務
アクアデザインアマノの大岩専務

近年は日本に残された貴重な自然を後世に伝えようと、可能な限り超大判フィルムに記録。豊富な自然体験をもとに世界各地で講演活動を行っていた。

自然の姿を水槽に表現する「ネイチャーアクアリウム」と膨大な自然の情報を平面に凝縮した風景写真「生態風景写真」の2つの創作活動が互いを補い合って天野さんの自然観を生み出した。東京スカイツリータウン内の「すみだ水族館」のネイチャーアクアリウムを制作、ことし初めまでポルトガル・リスボン海洋水族館も手掛けた。

昨年12月に撮影した初雪の弥彦神社
昨年12月に撮影した初雪の弥彦神社

写真展では、弥彦村総合コミュニティーセンターに159点、弥彦の丘美術館に17点の計176点を展示する。弥彦村総合コミュニティーセンターの作品は「日本の自然」、「海外の風景」、「アマゾン」、「熱帯の暮らし」、「社寺・仏閣」、「モノクロの鹿児島」の6つに分類して展示し、弥彦の丘美術館は「佐渡、屋久島、立山、最上、の日本の四大天然杉の威容」と題して展示する。

 八木ヶ鼻から撮影した三条市の下田郷
八木ヶ鼻から撮影した三条市の下田郷

天野さんは亡くなる2日前まで展示作品の選定を行っていた。風景写真は最大で1.5×4.0メートルと、まるで屏風かふすま絵のような巨大なサイズ。8×20インチの膨大な情報量のフィルムから生み出されているので、隅々までシャープにピントが合った画面は息をのむほど精細に風景を再現し、理屈なしに圧倒される。

「社寺・仏閣」のコーナーには、「初雪の彌彦神社」がある。今回の写真展は弥彦神社御遷座百年記念事業として企画されたもので、天野さんはその依頼を快諾してくれたという。あわせて天野さんに注文したのが、弥彦神社の撮影。そにれ応えて昨年12月、初雪に包まれた早朝の拝殿を撮影した作品だ。

 弥彦の丘美術館では日本の四大天然杉を撮った作品を展示
弥彦の丘美術館では日本の四大天然杉を撮った作品を展示

「モノクロの鹿児島」は、入院治療のために鹿児島を訪れて撮影した作品。「熱帯の暮らし」では現地で録音した鳥の鳴き声も流している。三条市下田地区の八木ヶ鼻の上から五十嵐川下流川を見下ろした作品や新潟市西蒲区夏井で雪原とはざ木、弥彦山を撮影した地元の風景もある。また、天野さんが撮影に使った8×20インチのフィルムを使うための特注のカメラも展示する。

会場を訪れた人間国宝の金工家、玉川宣夫さん(73)=燕市花見=は、2010年の新潟日報文化賞を天野さんとともに受けたのが、初対面だった。酒を飲み、もらった大きな包みを持ち帰るのに困っていたら、天野さんが車で玉川さんを家まで送ってくれた。

 天野さん愛用の8×20インチフィルムを使う超大判カメラ
天野さん愛用の8×20インチフィルムを使う超大判カメラ

天野さんの印象を「方言でしゃべって気さくな人だった」。作品を目の当たりにして「いやーすごいもんだね。写真は素人だけど、どうしたらあんなに焦点が合ってる写真が撮れるのか。天野さんの馬力を見習いたい」と感心した。

弥彦村上泉、株式会社二村建築社長の二村清栄さん(61)は、天野さんと高校が同窓で天野さんの2学年上。天野さんの兄で建築家の一博さんとも親しく、15年ほど前に二村建築社内で天野さんの写真展を開いたこともある。ことし10月に天野さんに講演会の講師を依頼したが、体調不良を理由に受けてもらえず、「こんなに早く亡くなられるとは残念です」と悔しがった。

「熱帯の暮らし」では現地で録音した鳥の鳴き声などの環境音が流れる
「熱帯の暮らし」では現地で録音した鳥の鳴き声などの環境音が流れる

中央の示現会、日本水彩画会に所属する水彩画家宇賀治徹男さん(82)=三条市柳場新田=は、近郷に取材した風景画を得意とする。海外の抜けるような青空や透き通るような海を撮影した作品に「こういうすかっとした風景を水彩で表現するのは難しい」と、絵画表現を想像しながら鑑賞していた。

毎日午前9時半から午後4時半まで開場、入場は午後4時まで。初日5日だけ午前10時半開場。入場料は700円、中学生以下は無料。問い合わせは弥彦総合文化会館内の弥彦村教育委員会(電話:0256-94-4311)へ。

関連リンク

spacer コンテンツ
spacer ショップ検索

公共施設も検索可能
分類別検索はここ

...詳細


燕三条のお悔やみ情報「縁をむすぶ」
三条パール金属スタジアム・サンファーム三条
外山産業グループ 外山産業、外山工業、グリーンライフ、メッツ
損害保険・生命保険・資産運用のことなら株式会社エフピーエム
スノーピーク オフィシャルサイト アウトドア/ナチュラルライフスタイル用品 製品 製造・販売メーカー
スポンサードリンク

■Copyright (C) kenoh.com Allrights Reserved.
三条・燕、県央の情報「ケンオー・ドットコム」kenoh.com