三条市と慶応大学SFC(湘南藤沢キャンパス)は9日、「地方創生に関する連携協力協定」を締結した。「スポーツまちづくり」をテーマに連携事業を推進し、まずは旧荒沢小内に慶応大SFCの三条サテライトを整備し、慶応大の大学院生を「地域おこし研究員」に採用し、地方創生に関する研究に取り組む。
2013年度に慶応大SFCの大学院政策・メディア研究科SCM(Sports Community Management)チームが、三条パール金属スタジアムで公共スポーツ施設を通じた地域活性化の調査研究を行ったのが両者の連携の始まり。慶応大SFCが三条市や地域団体と協働して、三条市で大学野球サマーリーグの開催、三条市下田地域の未利用資源の調査分析、パラリンピックのアイスレッジホッケーの用具開発などでこの4年間、切れ目なく取り組んできた。
今回の協定はさらに密接な連携を図り、「スポーツまちづくり」をテーマに活動し、三条市と慶応大SFC(SFC研究所)が中心となって共同で「三条市スポーツまちづくり×ものづくりプロジェクト」などを発足させる。
具体的には下田地域の自然を生かした自然体験合宿プロジェクト、プロ選手や日本代表クラスの選手と協働で新たなサービスコンテンツやプログラムを開発、展開するトップアスリートサービス開発プロジェクト、三条のものづくり技術を生かしたパラリンピック種目の用具を開発するパラスポーツ用具開発プロジェクト、大学スポーツの育成世代の強化ニーズに合うプログラムを開発、展開する大学スポーツ支援プロジェクトなどを想定している。
同時に大学院政策・メディア研究科(イノベータコース)の修士課程や博士課程で研究しながら活動の推進や研究開発に従事する地域おこし研究員を募集する。地域おこし研究員は慶応大SFCや鹿児島県長島町、広島県神石高原町、三条市などが共同で提唱、推進するもので、総務省の地域おこし協力隊制度などを活用し、地域に住んで地方創生に資する実践的な研究活動を行う大学院生などを対象に自治体が選考、任用する。
大学院政策・メディア研究科が遠隔と対面の助言や研究指導し、講義や演習をEラーニングやビデオ会議のシステムを使って遠隔受講できるようにする。2、3人を採用し、早ければ9月にも活動を開始し、下田地区の地域おこし協力隊と同様に「NPOソーシャルファームさんじょう」が活動を支援する。
9日の締結式には、慶応大SFCの総合政策学部から河添健学部長とSFC研究所社会イノーベーション・ラボ代表の玉村雅敏教授、三条市から国定勇人市長と若山裕副市長、それに当初から二人三脚で連携を進めてきたキーパーソンであるSFC研究所の松橋崇史上席所員、三条パール金属スタジアムの指定管理の株式会社丸富の代表でもあるNPOソーシャルファームさんじょうの柴山昌彦理事長が出席。国定市長と河添学部長が協定書に調印した。
国定市長は「今回のサテライト設置により、新たな慶応大学大学院生の新たな目線を下田に吹き込み、取り込むことによってさらなる地域活性化に資することを大いに期待を寄せている」と話した。
河添学部長は「大学院生を中心として人的交流が深まることは非常に大事なことで、さらにその人たちがベースになって一般の学生が三条市に関心をもち、ここに集まるようなかたちになってくれれば幸いと思う。とくに地元の高校生たちにも大学生がどういうことをやっているのかということを見てもらい、できれば慶応大に関心をもってほしい」と願った。