排ガスに基準を超える有害物質のダイオキシン類が検出されたため16日から焼却炉1基の運転を停止している新潟県の加茂市・田上町消防衛生保育組合が運営する一般廃棄物焼却施設(田上町原ケ崎新田)を17日、加茂市議会と田上町議会の有志が視察した。
県が昨年12月14日に採取して検査した1号炉の排ガスに基準の2.6倍のダイオキシン類が測定されたことから、県は速やかな運転の停止と改善を求めた。それを受けて組合では1月16日から1号炉を停止。1号炉のほかに2号炉があり、2号炉だけで焼却を行っている。2号炉は今回の検査対象にはなっていない。1月27日から2月6日まで改善のための工事を計画している。
以前から1980年に完成した焼却施設の老朽化が問題視され、近年はたびたび故障しては多額の修理費用をかけている。加茂市で田上町で構成する組合では、焼却施設の建て替えなどを求めているが、加茂市の小池清彦市長はそれに否定的で、田上町議会は2017年12月に速やかに焼却施設の更新計画を作成するよう提言をまとめ、小池市長に求めているが、棚上げになっている。
そうした状況から組合で最新の焼却施設を視察しようという話が持ち上がり、結局、両市町の市議、町議の有志で視察することにしたもので、基準を超すダイオキシン類の検出がきっかけではなく、それ以前から視察を予定していた。
参加したのは加茂市議5人と田上町議10人。先に新潟市西区に131億円を投じて建設された新田清掃センターで、2000年に設置された粉砕設備や12年に設置された焼却施設の最新設備を視察。昨年、故障で5月26日から6月12日まで運転を停止したときに5月18日から6月20日まで新田清掃センターで処理能力を超えるごみを焼却してもらった経緯があり、再び焼却を依頼する可能性もある。
そのあと加茂市・田上町の焼却施設を視察した。焼却炉は生ゴミを乾燥させてから燃やすドライヤー方式で、2基で1日約50トンの焼却能力がある。約40年前の施設は見た目にも古く、雨漏りで床がぬれている所もある。
焼却施設の担当者の話では、煙道が劣化して穴が開いているところもあり、フィルターを交換すればすむような問題ではないと言う。今回の工事にかかる費用は2千万円前後と見込まれており、参加した議員からは高額な費用をかけて工事を繰り返すより建て替えた方が結果的に安上がりになるのではとの考えや、田上町の組合からの離脱も考えられるとの声もあった。
組合議会の議長の滝沢茂秋加茂市議は「老朽化が激しい。地域の安全安心が大切で、田上町に立地しているので、加茂市の議員としても田上町民から安心してもらえるような整備を求めていきたい」と話した。
(佐藤)