暖冬少雪はすでに災害級だがコメの収量と品質のV字回復を (2020.2.24)

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JAにいがた南蒲管内のコメづくりを推進する新潟なんかん米改良協会(押野見浅一会長)主催の「売れる新潟なんかん米づくり運動」総集会が2月23日、見附市文化ホール「アルカディア」で開かれた。昨年の南蒲産米は猛暑の影響で品質が記録的な低水準となったからか管内の農家や関係機関からの出席者は例年より多めの約200人で、ことしはコメの収量、品質のV字回復に向けて「土づくり」の講演を聴くなどしてブランド米「なんかん米」のシェア拡大を目指した。

押野見会長の開会のあいさつ
押野見会長の開会のあいさつ

押野見会長が開会のあいさつを行った。昨年に続く暖冬少雪に押野見さんは「手放しで喜んでいいのか」問題提起して始めた。「例年にない早くからの除草作業や水不足が心配になる。とくに中山間地で春耕から田植えで水不足が懸念され、代替作物を検討しているとの情報もある」、「すでに災害級」と最大級の懸念を示した。

平成29年、30年と2年連続の作柄不良に続く令和元年産の作付けは「ことしこそは作柄回復との思いでスタート」した。田植えは順調に進み、それ以降も穏やかな天候が続き、順調に生育が進んだが、7月24日の梅雨明けから8月前半まで猛暑となり、とくに台風10号によるフェーン現象の影響で8月14日、15日と最高気温が40度を超し、夜間の最低気温も30度以上になった地点があり、猛暑に見舞われた。

一転して8月後半は低温、日照不足、多雨となり気象変動の厳しい年だった。その結果、作柄は「99」の3年連続のマイナス作況となった。コシヒカリは出荷契約を下回ったが、ほかの品種はおおむね契約を上回った。

一方、品質は主力品種のコシヒカリとこしいぶきをはじめ、ほとんどの品種で「心白粒」や「背白粒」など白未熟粒による高温障害が品質低下を招いた。とくにコシヒカリは1等級比率3.0%、3等と規格外を合わせて66%以上と、過去に経験したことのない結果となり、3年連続県内トップクラスの座を明け渡した。

消書者や実需者から「なんかん米」の高品質、良食味米の安定生産が求められ、今まで以下に背田、穂肥など現地指導会の実践強化と営農情報紙や携帯メールでのタイムリーな情報発信に努め、「令和2年産では総力を挙げて品質のV字回復を必ずや成し遂げなければならない」。気象変動に強いイネの土台は土づくりからと言われ、基本技術の「土づくり」のためJAでは「土づくり推進助成」を行っていく。

「売れる新潟なんかん米づくり運動」総集会
「売れる新潟なんかん米づくり運動」総集会

この日の講演や情報提供を受け、「気象変動に負けないコメ作りの実践に努め、安全・安心で高品質米の生産、販売先への安定供給により「なんかん米」のシェア拡大を図りたい。このことがJA自己改革の基本目標「農業者の所得増大」、「農業生産の拡大」に結び付く。

平成30年産から国による生産数量目標の配分と、コメの直接支払い交付金の廃止など米政策が大きく転換され、令和2年産で3年目を迎える。29年から続く不作で需給が均衝していることで懸念された米価の下落は回避されたが、仮に平年作だった場合は国が示す適正生産量を上回り、需給緩和で米価の下落となれば大問題だった。

新潟県の元年産の主食用米の作付面積は、前年に比べ全国最大の2,100ヘクタール増加し、全国のコメの需要量が毎年10万トン減少するなかで、需要に応じたコメ生産の取り組みが極めて重要。新潟米のブランド強化や需給と価格の安定に向け、令和2年産は「需要に応じた生産と水田フル活用及び高品質・良食味米の生産に向けた取り組み」の正念場の年となり、各地域農業再生協議会から示される生産目安数量の遵守が極めて重要になる。

「繰り返しになるが、2年続けての品質低下は許されない」とし、そのため、異常高温に対する基本技術の励行で品質のV字回復と、主食用米から水田活用米穀や戦略作物へのさらなる作付け転換による水田フル活用の実践により、需給と価格の安定に向けた取り組みを引き続き行政と一体となって進めていく」と決意し、出席者には「豊穣の秋を迎えられますよう」と協力を求めた。

金子文宜元全農技術主官が「コメの収量 品質V字回復を目指した土づくり」のテーマで講演したほか、北陸農政局新潟県拠点の斎藤敏明新潟地方参事官が「情報提供」について、全農新潟県本部集荷推進課・荒川修課長が「米穀情勢」について、長岡地域振興局農林振興部普及課の神田慶太郎主査普及指導員が「元年産米の作柄と2年産米品質向上対策」についてそれぞれ指導した。

また令和元年度新潟なんかん米改良協会優良生産者表彰として加茂地区の渡辺尚武さん(加茂市鵜森甲)、にいがた南蒲農業協同組合組合員特別表彰として、全国豆類経営改善共励会の農林水産大臣賞受賞のいちい地区の栄北部株式会社、同全国農業協同組合中央会長賞受賞の田上地区の笠原政嘉さんをそれぞれ表彰した。

令和元年度新潟なんかん米改良協会優良生産者表彰を受ける加茂地区の渡辺尚武さん(代理)
令和元年度新潟なんかん米改良協会優良生産者表彰を受ける加茂地区の渡辺尚武さん(代理)

全国豆類経営改善共励会の農林水産大臣賞受賞のいちい地区の栄北部株式会社
全国豆類経営改善共励会の農林水産大臣賞受賞のいちい地区の栄北部株式会社

全国豆類経営改善共励会全国農業協同組合中央会長賞受賞の田上地区の笠原政嘉さん
全国豆類経営改善共励会全国農業協同組合中央会長賞受賞の田上地区の笠原政嘉さん

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