段ボール専業メーカーの森井紙器工業(森井康社長・新潟県燕市)は3月10日、AED(自動体外式除細動器)を使うときの目隠しを想定して開発した段ボール製のパーテーションを燕市に寄付した。
燕市役所には1階と4階にAEDが設置されている。その目隠しになるようなものを段ボールで作れないかと森井紙器工業に相談があった。
燕市と森井紙器工業は、2016年に災害時における物資調達に関する協定を結んだ。18年、燕市でロケが行われたTBS日曜劇場「下町ロケット」にちなんで鈴木力市長の要請を受けて原寸大の段ボール製トラクターを作り、大きな注目を集めた経緯もある。
仕組みはシンプルで一般的な段ボールを蛇腹折りにした。広げると屏風のように自立し、自由な形で立てられる。縦170cm、横30cmの段ボール24枚をつなげ、いわば24曲屏風。たたむと厚さ16cmになり、市役所に設置されているAEDの収納ケースの裏側、壁とのすき間にぴったり隠れるように設計したので、すっきりしている。
ぐるりと囲むように立てると3人が中に入れる十分な広さを確保する。重さは約7kgと軽く簡単に移動できる。販売の予定はないので売価の設定はないが、サンプル製作なども含め実費で1セット3万円ほどかかった。これを2セット寄付した。
10日、市役所へ寄付に訪れた森井社長は「どんな用途にも使える柔軟性が高い段ボール」と言い、鈴木市長は「段ボールのベッドや避難所のパーテーションはあるが、AEDでこういう発想は新しい」と感心し、要請に応えてくれたことに感謝した。