ふるさと納税の返礼品にもなればと新潟県燕市の燕大通商店街にある明治元年創業の老舗、石田屋酒店(佐藤正喜店主)がプライベートブランドの日本酒「燕友(えんゆう)」を3月6日、発売した。
雪中貯蔵蔵発祥蔵として知られる高の井酒造(小千谷市)に製造を依頼した。酒米「五百万石」を60%まで精米し、醸造アルコールを使わずにつくった特別純米酒。四代目の佐藤正喜さん(60)は「口当たりが柔らかく、味にふくらみがある。甘くはなく、コメ本来のうま味を感じる」と言う。720mlが税込み1,400円、1.8Lが2,650円。
ラベルにデザインした筆文字は妻の明子さん(54)が書いた。結婚して店を手伝うようになってから書道の通信講座に1、2年、受講して二段になった。その後も仕事でのし書きや表書きで腕を上げ、書を頼まれることもある。
「燕友」はそれぞれの字が円を描くようなイメージで書いた。「輪になって手を取り合うような感じ。燕が輪になって世界にはばたくような」と明子さん。背景にツバメのシルエットを緑色で組み合わせてラベルに仕上げた。
ことし2月初めに開かれた燕大通商店街の新年会がきっかけだった。燕市のふるさと納税の寄付額は県内1位。燕商工会議所の田野隆夫会頭から返礼品の出品を勧められた。今までも返礼品の商品は頭にあったものの、踏ん切りがつかなかったが、背中を押されて腰を上げた。
それからが早かった。特約店限定酒「田友(でんゆう)」を扱わせてもらっている高の井酒造に製造を依頼し、ラベルをデザインしと、わずか1カ月ほどで発売にこぎ着けた。春の返礼品の審査には間に合わず、秋からの返礼品になる。
数年前からオリジナル日本酒「真沙喜」を販売している。それに次ぐオリジナル商品が誕生した。「この世知辛い世のなかで何かできないかと思っていた」と明子さんが言えば、正喜さんは「この酒を通して友だちの輪が広がってくれたらいい。自信をもって、いい酒と言える」とコミュニケーションのネタになってくれることを夫婦で願っている。
ネット販売は行っておらず、「燕友」は店頭だけで販売。問い合わせは石田屋商店(電話:0256-62-2027)へ。