新潟県燕市吉田地区でフード&バー「noanoa(ノアノア)」を経営する石橋勝行さん(47)は26日、特別養護老人ホーム「太陽の園」(荒川秀子園長・入所者90人)に昭和10年代から50年代に吉田地区などで撮影されたモノクロ写真を自身でカラー化した写真を寄付した。
寄付したカラー化した写真は21点。施設のデイサービスの利用者も通る玄関を入ってすぐの1階の廊下に額に入れて展示した。
昭和49年6月15日に撮影された今も吉田まつりで踊り継がれる「吉田繁盛節」の発表会、昭和36年撮影の旧吉田駅、昭和55年撮影の旧吉田中学校校舎、昭和40年撮影の南吉田駅開業と、吉田地区の半世紀前の当時の吉田町で撮られたモノクロ写真とカラー化した写真を並べて展示している。
吉田地区以外にも新潟市内で撮影された大正時代の大竹座、明治の新潟郵便局、明治の二代目と昭和の三代目の万代橋、明治の新潟税関の写真もある。
カラー化したことで画像のリアリティーが増し、当時と現代は切り離されているのではなく地続きであるという当たり前のことを肌感覚で理解できる。
デザインも手掛ける石橋さんは、昨年10月ごろからモノクロ写真をカラー化する作業に熱中。モノクロ写真は吉田商工会や新潟市歴史博物館「みなとぴあ」から借り、これまでカラー化した写真は1,000点を超す。
石橋さんは「若い人がモノクロ写真ではぴんとこない。古い写真を若い世代に引き継いでいってもらうには、若い人に伝えやすいカラー化が必要と思った」と言う。ことし5月中旬から1カ月間、新潟県庁ギャラリーにもカラー化した写真を展示した。
「太陽の園」は店から近い。「昔を懐かしむ回想法は認知症の予防につながる。カラー化した写真で昔を思い出して認知症予防になれば」と寄付することに。展示するとさっそく入所者が作品を見て昔話をしていた。
荒川園長も「脳の活性化につながり、話のきっかけにもなるので活用していきたい。コロナ禍で入所者の新しい交流や情報と接することができなくなっているので、新しい刺激になる」と喜んでいた。
またDJの趣味もある石橋さん。昭和の懐メロ26曲を収録した音楽CDも制作して寄付した。ジャケットには4年前に亡くなった石橋さんの母、十三子さんが移る写真をデザインした。
懐かしい音楽を聴くのも認知症予防に効果があり、施設ではイベントなどのときに流すことにしている。