新潟県燕市を中心に活動する燕九条の会は3日、燕市中央公民館で北朝鮮に拉致された蓮池薫さん(65)の兄で2005年まで家族会の事務局長・副代表を務めた蓮池透さん(67)を講師に講演会「当事者の私が見た原発問題と拉致問題」を開き、会場いっぱいの約50人が来場した。
蓮池さんは東京電力で働き、核燃料サイクルの商業利用を進める日本原燃に出向したことがある。家族会では、政府の拉致問題の進め方に疑問を抱き、批判的な立場になった。2019年にはれいわ新選組から参院選に立候補している。
蓮池さんは原発再稼働は論外であるということを理由をあげて説明。原発推進へ向かう岸田政権の政策転換を批判、東京電力の体質、県内の動き、そして原発を持たない新電力への切り替えを勧めた。柏崎刈羽原発の再稼働を阻止するには「柏崎と刈羽の人が外堀から埋めていくしかない」などと話した。
拉致問題については安倍政権の無策やメディアの報道姿勢を批判し、全拉致被害者の即時一括帰国のスローガンへの疑問を示し、今後の見通してまで話した。
外からはうかがい知ることのできない当事者としての説得力がある蓮池さんの話に、参加者はうなずいて真剣に聞き入っていた。