新潟県の弥彦村役場で公民館図書室が移転する形で新しい弥彦村図書館「らいわ弥彦」が24日、開館する。蔵書約1万8000冊でのスタートだが、「読書で健康長寿」、「非認知能力を伸ばす教育立村」、「世代を超えてつながる村」これらをコンセプトに村民が集い学ぶ「新しい地域交流拠点」となる独自の図書館を目指す。
物置になっていた役場2階のスペースを改修した本館に新築の2階建て新館が接続。中庭を活用し、ウッドデッキを設置した。広さは本館588平方メートル、新館972平方メートルで延べ床面積1561平方メートルで、総事業費は約4億2000万円。
本館はライブラリー、学習室・講座室、レンタルブース、閲覧コーナー、新館1階に遊具、閲覧コーナー、休憩スペース、カフェ、2階にライブラリー、工作室、休憩スペースなどを配置した。
最大約5万冊を所蔵できるが、開館時の蔵書はその3分の1にとどまる。量よりもコンセプトにこだわった。
一般的な図書館が基本にする日本十進分類法に従った配架は、利用者が戸惑わないように一部に残すものの、図書館の目指す理想像である3つのコンセプトに沿って選書し、配架した。
そのため専門的な知見が欠かせず、選書業務をブックディレクターの山口博之さんに委託した。
弥彦村の木工工房「Out Mount furniture」の外山雅人さんのオリジナルの机やいすを使った。カフェは「hello sheard」の星野元樹さんに委託。カフェの入る新館1階部分は飲食でき、ふたをした飲み物なら館内どこでも飲める。
背板にカラフルなアクリル板を使って光が透けるスケルトン棚も配置した。新館の外観は弥彦村公民館麓支館として利用している旧麓小学校をイメージ、役場ともマッチした和風な三角屋根。コンクリート打ち放しの外壁の一部には、木目を浮き上がらせた焼杉板を使い、コンクリート表面に木目を表現して校舎の板壁を思わせる。
Wi-Fiや電源も設置。個室のレンタルブースは1時間単位で無料で利用できる。県央地域の市町村や新潟市の図書館との相互利用も可能。小粒でもさまざまな工夫を凝らし、はっきりした意志をもつこだわりの図書館だ。
徳永絹枝館長は「独自のことをやろうとするとものすごく手間がかかるが、村民にとにかく本を読んでいただきたい。独自性をもった図書館だからこういう本を置いているという意図を示したい」と言い、「学びに親しむ人が村民に刺激を与える」と交流拠点としての起爆剤としての役割に期待している。
開館に向けて1カ月前から公式アカウントをtwitter、 instagram、 youtube、 Facebookに開設して情報を発信している。
24日、25日はオープンイベントを行う。24日は午前10時半から関係者で公式オープンセレモニー、11時半からブックディレクターの山口さんがトークライブで「らいわ弥彦」の魅力を語る。
さらに午後1時半から記念講演を行い、東北大学スマート・エイジング学際重点研究センターの東北大学加齢医学研究所教授の医学博士、瀧靖之さんが「心も身体も脳を豊かにする!図書館の魅力」をテーマに講演する。25日は午前10時半から「手作りで作ろうワークショップ」、午後1時半から弥彦絵本の会による読み聞かせを行う。
6月29日(木)以降は平常通りで、開館は平日9:30〜20:00、土日祝9:30〜18:00で、火曜と第4水曜は休館。28日までの6月中の開館予定は次の通り。