アフガニスタンに用水路を建設して多くの命を救った医師、中村哲(1946-2019)のドキュメンタリー、劇場版『荒野に希望の灯をともす』の上映会が1月26日(日)に午前10時半、午後1時、3時の3回、三条市体育文化会館で開かれる。
三条市に拠点を置く三条地区保護司会(山田秀泰会長)と、更生保護を目的とする三条地区の女性でつくる三条地区更生保護女性会(小林紀子会長)、青年でつくる三条地区BBS会(田村元隆会長)が主催する。
2019年、アフガニスタンで用水路建設に邁進するなか武装勢力に銃撃されて死去した中村医師の足跡を追ったドキュメンタリー。アフガニスタンとパキスタンで35年にわたり、病や貧困に苦しむ人々に寄り添い続けた。
現地の人々に中村医師の誠実な人柄が信頼され、医療支援が順調に進んでいた2000年、アフガニスタンを大干ばつが襲った。
農業は壊滅し、人々は渇きと飢えで命を落とすなか、中村医師は医療で人々を救うことに限界を感じる。そこで医療行為のかたわら、大河クナールから水を引き、用水路を建設し、乾いた大地をよみがえらせる事業に取り組んだ。
戦闘ヘリが飛び交う戦火の中で、何の知識もないまま自らショベルカーを運転し、専門家がいないまま前代未聞の大工事が始まった。数々の技術トラブル、アフガン空爆、息子の死と数々の困難を乗り越え、7年で用水路を完成した。
用水路が運ぶ水で、荒野は広大な緑の大地に変貌。今も65万人の命が支えられている。しかし2019年12月、さらなる用水路建設に取り組むなか、何者かの凶弾で命を奪われた。
2022年に制作され、これまでにテレビなどで放送された映像に未公開映像、最新の現地映像も加えて劇場版として再編集し、中村哲の生き様を追った。上映時間は90分。
東北を拠点に自主上映会に取り組む配給会社で組織するジャパン・スローシネマ・ネットワーク(JSN)の配給で全国各地で『荒野に希望の灯をともす』の自主上映会が開かれている。
これまで1年半で自主上映会を300カ所で開き、6万人を動員し、劇場上映を含めると10万人を超えた。とくに昨年に入ってから山形や長野で動員数が伸びている。
自主上映会のチケットはほとんどが手売りだが、この作品に限っては例外的で、これまで枠を大きく超えて多くの人が鑑賞している。
上映会を前に三条東公民館で開かれた試写会に訪れた株式会社シネマとうほく(宮城県仙台市)の高澤保崇さんは「監督はいろんな閉塞感を感じるなかで、何か心が洗われたいという思いが、中村哲さんに重なったのかなというお話だった」と話していた。
また、会場には中村医師のパキスタンやアフガニスタンでの活動を支援しようと1983年に結成された非政府組織「ペシャワール会」に善意を寄付する募金箱も設置する。
前売り券は1,200円、当日券は一般1,500円、大学生1,300円、中高生800円。前売り券は三条市中央公民館、下田公民館、栄公民館、セブンチケットで扱っている。前売り券は上映前日の25日まで三条地区保護司会の電話「0256-64-8230」でも受け付ける。