新潟県弥彦村(本間芳之村長)で生産される小麦をきっかけで学校法人国際総合学園「国際調理製菓専門学校」(石田道子学校長・新潟市中央区)と弥彦村は4日、包括連携協定を締結した。生徒の食育実習として行っている田植えや稲刈り体験を来年度か弥彦村で行い、弥彦村は生徒との交流や意見交換を通じて地域の活性化を図る。
国際調理製菓専門学校は2006年に開学。8科あり、生徒は306人。これまで企業や大学、団体などと包括連携協定を結んでいるが、自治体との協定締結は初めて。
協定に至るきっかけは、製麺事業を手掛ける1期生だった。新型ウイルス禍やウクライナ戦争で小麦粉が不足し、輸入に頼る危うさに気づき、いろいろ調べるなかで弥彦で小麦粉が生産されていることを知った。
生産者と会い、熱意とコンセプトをもって生産されていることを知り、弥彦の小麦粉で製麺したまぜ麺を学校のレストランで販売したところ好評。弥彦産のしょうゆ「伊彌彦醤油」もあわせて販売した経緯がある。
そこから協定締結の話が進んだ。具体的に専門学校生と観光・商工関係従事者との意見交換会の実施、専門学校生のアイデアを生かした商品開発や新商品のモニタリング、専門学校本館1階スペースを利用した弥彦村イベントの実施、弥彦村イベント開催時に専門学校生によるブース出店などを行う。
食育実習の田植えや稲刈り体験は十日町松之山で出向いて行ってきたが、これからは弥彦村で行う。さっそくこの週末8日、9日に専門学校で開かれる文化祭「Food 大感謝祭」に株式会社伊彌彦が出展し、「伊彌彦米」、「伊彌彦醤油」、シイタケ「やひこ太郎」、「伊彌彦もち」などを販売する。
4日の締結式で石田学校長は、本間村長や生産者と会い、「熱く結束して生産者だけじゃなく、それを商品化する人、それを販売する人たちが、行政産学が一体となってこの地区は地域を盛り上げようという力を感じた」、「専門学校できることで地域に貢献させていただきたい」と述べた。
さらに「産学官が連携することで信用性や食品のマーケティング、何よりもただ食べるだけではなく、安心して生産者の顔がわかるもの食べるということを新潟の食材、飲食界のポリシーにしていきたい。この包括協定を機に、地域を盛り上げていく、地域活性につながっていくことを祈念する」と期待した。
本間村長は「弥彦村を学生のフィールドワークに選んでもらえたのは喜ばしい」と歓迎。村の基幹産業である農業の取り組みや弥彦の生産物の魅力を紹介し、「学生たちの学びの良い機会にし、村としても地域活性化のために学校側と連携協力していきたい」と述べた。