昨年12月3日に登録有形文化財に登録された川俣家住宅(旧渋谷家住宅)長屋門の登録証が2月6日、所有者に伝達された。
川俣家住宅の構造は、木造で切妻造平入桟瓦葺(きりづまづくりひらいりさんかわらぶき)、梁行(はりゆき)2間(3.9m)、桁行(けたゆき)15間半(28.5m)。五十嵐川西岸の敷地に移築された旧本陣の長屋門で、通りに南面して建ち、中央東寄りを門口に、両脇に土間を1室ずつ配置する。きりづまづくりひらいりさんかわらぶき
はりゆき
軒はせがい造で、門口にケヤキの1枚板の板扉をつるなど、間口が長大で豪壮な構えが特徴。1838年(天保9)の建築で、1980年(昭和55)に見附市から現在地に移築された。
建築年は棟札による。 大工棟りょうは志田杢左衛門、桜井茂兵衛。外壁や内部間仕切りは改修された。渋谷家は傍所村(ほうじょむら)の大庄屋で、本陣役を務めた家柄と言う。
6日は所有者の川俣節子さんが当日になって体調を崩したため、長屋門の保存活用に取り組むボランティア団体「ノジコの会」の宗村里士会長と吉川静事務局長が市役所を訪れ、川俣さんに代わって滝沢亮市長から登録証を受けた。このあと登録プレートも交付される。
宗村会長は「正式に文化財に登録され、これが再建のスタートだと思う。多くの皆さんから活用していただけるものにしたいので、今後とも市からもいろいろ指導、協力をどうぞよろしく」と求めた。宗村会長は、長屋門が学区内にある月岡小学校の6年生の三条の魅力を探すのがテーマの今年度の総合学習で、1つのグループがノジコの会と長屋門を選んで学習していることを紹介した。
新型ウイルスの感染拡大で修学旅行もできなかったとき、当時の6年生と3年生が長屋門の瓦の裏に名前や夢、希望を書いてくれた。そのことを覚えていた今の6年生が、長屋門を三条の魅力と思ってくれた。
さらに自分たちが長屋門のために何ができるかと考えて、昨年11月には草刈りをしてくれた。「私どもは本当にうれしく思った」と宗村会長。「こういったことを魅力だと思う子どもたちの方が返って魅力なのかなと思った」と喜ぶ。
登録証の伝達に6年生の同席はかなわなかった、6年生がノジコの会の活動のために募金活動を行い、その寄付の贈呈を受けるために翌週、月岡小へ出向くことになっている。
また、昨年から長屋門近くの道心坂で旧道「常閑(じょうかん)古道」の整備も始めた。長屋門の由来を記した看板をノジコの会で作ろうかと考えていたが、三条市が看板を製作してくれることになったことにも感謝し、除幕式には滝沢市長の出席を求めた。