新潟県燕三条地域の一般社団法人燕三条青年会議所(齋藤和也理事長)は17日、三条市体育文化会館で芸人で童話作家の西野亮廣(にしの あきひろ)さんを講師に迎えて講演会「時代を切り開く〜共感を生むリーダーシップと巻き込む力〜」を開いた。有料の講演会にもかかわらず会場は500人で満席。スタンドアップコメディーのようなスタイルでパワーワード満載の1時間半の講演はあっと言う間だった。
西野亮廣さんは、2020年12月に公開された映画「えんとつ町のブベル」で脚本・製作総指揮を務め、大ヒットを記録。日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞受賞、アヌシー国際アニメーション映画祭長編映画部門ノミネートなど海外でも高く評価されている。
国内最大級のオンラインサロン「西野亮廣エンタメ研究所」を運営するなど芸能活動の枠を越え、さまさまなビジネス、表現活動を展開している。
講演会で西野さんは、挑戦とは何か、モチベーションと成功の関係、地域活性化とVIP戦略、商品やサービスの売り方、地域ビジネスの発展などについて話した。
挑戦はギャンブルではなく、「失敗を前提とした計画的な試み」。成功者はギャンブルをせず、イーロン・マスクもリスクを最小限にする戦略をとる。ブレーキを意識しないと大きなプロジェクトは持続できず、「健康か金が尽きたタイミング」で挑戦は終わる。
よくモチベーションを聞かれるが、「モチベーションを口にする人は全員が仕事ができない」。モチベーションは結果の副作用。最初から高いモチベーションを持つ必要はない。スポーツ選手や芸能人も、最初は特別な動機がなく、結果が出ることでモチベーションが生まれる。
モチベーションを上げるには「結果を出すこと」が最も効果的。モチベーションに足りていないのはきっかけで、「生活動線を変えるしかない」、「きっかけを探してください」。
VIP戦略が重要になっている。航空業界を例にファーストクラスの存在がエコノミーの価格を下げている。VIPを受け入れると町全体の経済効果が高まり、一般客にも利益が回る。VIPの近くに行く、VIPが近くに来てくれる状況をつくらなければならない。地域や企業は、VIPを取り入れ、戦略的に商品を展開することで、持続的な発展が可能になる。
商品を継続的に売れるようにするには「評判」ではなく「仕組み」で売る必要がある。前者はタピオカ屋、後者は神社や寺を引き合いに出し「良い商品でも仕組みがないと継続できない」。おいしいからウナギでは終わり、土用だからウナギは続く。
ビジネスとエンタテインメントは両立可能だが、日本はこの考え方がまだ十分に浸透していない。新しいことを始めるためには、生活環境を変えることも重要。異業種の人と交流することが新しい発想につながる
西野さんは一度も用意したいすに座ることなくハンドマイクでステージの前に立って語りかけた。テンポのいい軽妙な話しぶりは時間を忘れさせた。西野さんは時間内に話しきれず、最後は時間をオーバーして伝えたいことを詰め込んだ。
今回の講演会は、燕三条青年会議所のことし最初の事業で、燕三条地域外からの来場も多く、西野さんと同世代の来場者が多かった。
講演後のあいさつで齋藤理事長は「燕三条の合併に向けた青年会議所の活動に賛同いただき、一緒にこのまちを変えませんか。皆さんは今、そのきっかけをこの講演会から得たと思う」、「我々が力を合わせて変われば、まち全体も変わると思う。ひとつのちっちゃなが動きが大きなうねりになり、このまちを動かす。そんなひとりに皆さんもなってみるきっかけしてほしい」と願った。