日本海側の富山県・富山湾から北アルプスと中央アルプス、南アルプスを越え、太平洋側の静岡県・駿河湾まで8日以内に横断する総距離415km、累積標高26,662mの日本一過酷な山岳アドベンチャーレース。それが「TJAR(トランスジャパンアルプスレース)」。昨年8月のこのレースで完走を果たした新潟県三条市出身の動物園獣医師・中村亮平さん(43)=北海道東川町=の完走報告会が4月2日(水)、ふるさと三条市で開かれる。
完走報告会は三条ものづくり学校(三条市桜木)で2日の午後6時半から8時まで開かれる。中村さんは先に北海道でも報告会を行っている。走り始めたきっかけやTJARに挑戦しようと思った理由、レースに向けた準備、使用した装備、レースの振り返り、レースへの思い、完走した先に見えた景色などを赤裸々に語ってもらう。
参加費は500円。定員30人で先着順で締め切る。完走報告会のあと、簡単なオードブルとドリンクを用意して参加費3,000円の懇親会も開かれる。
中村さんは県立三条高校を卒業し、北海道大学獣医学部を卒業。北海道の旭川市旭山動物園に獣医師として勤務している。大学時代からマラソンや登山の経験があり、登山歴27年、山などを走るトレイルランニング(トレラン)歴はわずか1年でTJARに挑んだ。
2023年1月にTJARの番組を見たのがきっかけで、大学時代からマラソンや登山の経験がある自分にもできるのではと思い立ってトレランを始めた。
レースには70人の応募があり、予選会で37人が合格した。さらに抽選会で29人が選出され、それに前回大会優勝者を加えた30人が出場し、中村さんもそのひとりに選ばれた。
結果は1位が5日1時間26分で、中村さんは7日22時間15分で20位でゴールした。わずか1年のトレーニングで出場できただけでもすでに快挙だが、長い時間をかけて準備している選手でもリタイアするなか、中村さんは見事に完走を成し遂げた。
報告会を企画したのは、会社経営のかたわら過酷な100マイル(160キロ)レースを走破しているアスリート、トレイルランナー歴8年の梨本次郎さん(51)=三条市=。中村さんのことをXのアカウント「さろまっくす(@saroma1981)」で知った。アカウント名は、サロマ湖100kmウルトラマラソン14回完走に由来する。100kmマラソンのスペシャリストだ。
梨本さんが利尻島へスキーを滑りに行って中村さんとやりとりするようになった。三条市出身と知って親近感をもった。中村さんがTJAR出場を目指して標高3000メートルでのビバーク(露営)などの宿題に取り組んでいるのを聞き、出場に至るまでのプロセスにも注目していた。
出場が決まると同郷ということで、レースの応援に出向き、そこで初めて中村さんと対面。レースのスタートに立ち会うとともに、剱岳(つるぎだけ・2,999m)を中村さんと一緒に登った。
レース前、梨本さんは完走したあかつきには、ぜひ三条市で完走報告会をやろうと、激励も込めて中村さんと約束。その約束が実現する。
梨本さんは、「TJARは、みんながあこがれるレースだし、日本アルプス縦断で日本海から太平洋まで8日間で、ひとりで自力でやりきるのはすごいのひと言」、「出場のための宿題とはいえ、ひとりでクマが出るような深い山に入って何十時間もひとりでビバークするようなことを黙々とやってる姿はすごい」と中村さんにリスペクトしかない。
燕三条地域のスポーツ関係団体やアスリートに報告会を案内している。「いずれにしろ未知の世界にチャレンジする尊さや勇気、レースを体感した人の言葉や体験談を聞けば勇気をもらえると思う。分野が違っても自分もやってみよう、こんな世界が待ってるんだといった気持ち共有してほしい」と参加を呼びかけている。
参加申し込みはオンラインフォーム「中村選手TJAR2024完走報告会」か梨本さん(090-4545-7249)へ。また、中村さんは31日午後4時半から梨本さんとともに滝沢亮三条市長を表敬訪問する。