深刻さを増す一方のサル被害の対策として、サルの活動範囲の把握に役立ててもらおうと新潟県加茂市は16日、サルに装着したGPS(衛星利用測位システム)付きの首輪のデータに基づく「サル出没情報と予報」の発信を開始した。
情報が入りしだい不定期に平日の毎朝9時にスマホアプリ「かも防災・行政ナビ」や市公式LINEで情報を発信する。発信初日の16日は、加茂A群が黒水東区、薬師山のふもとの田畑に出没して今後は猿毛地域方面に向かうと予報。黒水群は、艶柳橋から西山に向かった山中に出没し、今後は西山方面に向かうとの予報を伝えた。
加茂市では市内に4つか5つのサルの群れがあると見ている。昨年度、新技術実証で国の交付金を受け、2つの群れにサルにそれぞれGPS首輪を装着して実証実験に取り組んでいる。1日1回、それぞれの位置情報を受信している。
その情報をもとにサルの出没情報と予報を市民に提供し、サルの追い払いに生かしてもらう。市民からサルを追い払うにも、いつ来るかわからないサルを待っていられないという声が多い。
市ではさらに今年度、新たにGPS首輪2台を導入予定。GPS首輪のバッテリーを長持ちさせるために位置情報の受信は1日1回としているが、運用しながら検証し、更新頻度などを検討する。
サルの行動範囲は年々、市街地に近づいている。長岡市でも同様のGPS首輪を使った情報発信を行っている。
加茂市ではほかの自治体と同じように補助金を活用した電気さくの設置も進めているが、農作物被害は増加するばかりで人的被害も恐れも高まっている。今回の情報発信がサル被害対策の一助になることに期待している。