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満員の本堂で大暴れの鬼たち
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節分の3日、三条市・法華宗総本山本成寺(鈴木日艸管長)では、同寺で恒例の節分会を行い、午後1時と3時の2回、鬼追い踊りを披露した。
正午の気温は0.0度(三条地域消防本部調べ)。翌4日の立春を前に北風が吹き荒れたにもかかわらず、厄払いや1年の無事、事業の繁栄を願う善男善女約1万人(同寺調べ)を超える人出でにぎわった。例年、参拝者のほとんどがお年寄りだが、ことしの節分は土曜日ということもあり小さい子供を連れた家族連れが目立った。
本成寺の鬼踊りは、終戦直後のすさんだ世相にうるおいをと、450年ほど前の戦乱期に、旧本成寺村に出没して五穀を略奪した夜盗を僧と農民が協力して退治した故事にちなむと伝わる。今の鬼踊りは、戦後に復興したスタイルを継承しており、鬼の金棒に代えて三条特産ののこぎりや金づちを持たせたのが特徴だ。
1回目は、鈴木管長を導師に「陀羅尼品(だらにほん)」を読経するなか、塔頭(たっちゅう)寺院住職らが左手に経巻、右手に持った木の札を合わせた“木剣”を参拝者の頭上でパチパチ打ち鳴らして払い清め、いよいよ鬼追い踊りの始まりだ。
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子どもを抱きかかえて笑いを誘う
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鬼追い踊りは、最初に鬼追い踊りや鬼の色の意味を伝えるナレーションに続き、なぎ刀を手にした3人の僧兵が本堂正面に設けた12畳のステージに上がり、鬼の仕業を記した巻物を読み上げて引き上げるのを待って鬼が登場。鬼たちの「ウオー!」と言う声が本堂に鳴り響くと、ぎゅうぎゅう詰めになった本堂のあちこちから、子どもたちの「怖いよー!」「いやだー!」と泣き声が上がった。
人間の欲望を象徴する5色、6匹の鬼と三途川婆(そうずかばばあ)が本堂正面からステージへ上がると、カメラを持っていた見物客が一斉にフラッシュを放った。
中盤で鬼たちが泣き叫ぶ子どもを抱きかかえてステージを一周。鬼に抱きかかえてもらおうと、わが子を差し出すお母さん。突然、鬼の肩に乗せられた子どもは「きょとん」とした表情を見せ、怖いだけではないユーモラスな鬼の演出が見物客の拍手や笑いを誘っていた。
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一斉に豆つぶてで鬼を撃退
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そして終盤。鈴木管長の「福は内、鬼は外!」を皮切りに、かみしもを着た高橋一夫三条市長や高橋甚一燕市長、事業主などの参拝者はますに入った豆を鬼めがけて投げ、一般参拝者もそれに続いた。
鬼はたまらず雪が降り積もった境内へ逃げ出し、境内の鐘楼堂へ。本成寺の鬼は、鐘をついて初めて改心して人間に戻るとされ順番に一発ずつ鐘をついて幕を閉じた。
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