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三条市立図書館の電算稼働式、遅れたが安上がり(2001.3.21)

三条市立図書館(羽賀吉昭館長)は、21日午前9時半から図書館電算稼動式を行い、念願だった貸し出し業務の電算化がようやく同図書館でもスタートした。

電算稼働式のテープカット

稼働式では、高橋一夫三条市長、岡田兵一郎市議会議長ら4人がテープカットを行った。高橋市長は「三条市は平成11年から図書館の電算化に向けて取り組んでおり、利便性の向上と質の高いサービスの向上になると思います」、岡田議長は「言うまでもなく利用される皆さんは便利さを感じてほしい」と図書館のサービス向上と市民の活用をアピールした。

受付の端末で実際に、バーコードを使って貸し出し書籍を入力した高橋市長は「これでいいの?。これで作業終わりなんだ」と、あまりの簡単さにびっくり。「コンピューターだと誰が何借りたかすぐわかるんだね。変な本借りれないな。いや、図書館だとそんな本置いてないか」と話すと、そばの来賓が「いやぁ、図書館だってありますよ。そういう本。やたらと借りられないですよ」と返し、それを聞いた職員の「ここには、『変な本』なんてありませんよ」に笑う場面もあった。

利用者端末で、図書館のインターネット利用の方法を聞いた来賓のひとりは、「わざわざ、ここまで来なくても家で貸し出し状況が見られるんだかね?こりゃ便利だね」と感心していた。

端末操作を体験する高橋市長

「アイリス・ウイン21NX」という図書館用の専用システムを導入したもので、総経費は7,800万円。同図書館の蔵書約21万冊をデータベース化し、カウンターに図書の貸し出しや返却を行う業務用の端末(パソコン)3台を設置。利用者用には書名カードの棚を撤去し、空いたスペースを使って蔵書検索用とインターネット接続用の端末を1台ずつ設置し、同図書館の蔵書とデータベースをオンラインで結ぶ三条市嵐南公民館にも蔵書検索用1台を設置した。書名カードは一部、残して2階学習席に移動したが、著者名カードはすべて廃棄した。

電算化事業を請け負った(株)BSNアイネット=新潟市米山2=の松田守弘営業企画部係長は「三条市の蔵書は、県内でも4番目。今回の電算化で今まで以上のサービスができます」と話す。

同図書館では10年くらい前から毎年のように電算化を予算要求していたが、緊縮財政でカットされ続けた。その間に県内の主だった図書館は次々と電算化を進め、燕市立図書館も昨年、電算化している。

一方で当初は電算化にかかる費用は数億円と見られたが、システムの普及と同時に価格が下がり、結局はその数分の一で導入できたことになり、“サービスは遅れたが、懐には優しい”といったところ。

職員が使うカウンターの端末。バーコードリーダーにも紅白のリボンが。

電算システムは、バーコードを読み取る、レジなどでおなじみのいわゆるPOSシステムで、図書のバーコードと登録者カードのバーコードをそれぞれ読み取り、蔵書や貸し出し状況を管理する。

貸し出しには、利用者は新たにバーコードの入ったクレジットカード大の登録者カードを発行してもらう必要がある。発行は無料。カウンターで申込用紙に住所、氏名、電話番号などを記入し、免許証や保険証など本人と確認できるものを持参する。

2、3分もあればすぐに新しいカードを発行できるが、カード切り替え当初はカウンターで混雑が予想されたため、すでに登録者カードを発行していた9,085人には、3月初めに新しいカードを発行、郵送している。

新しい登録者カード

貸し出し時は、図書と登録者カードのバーコードを読み取ると、ちょうどレシートのような書名と返却日を記した「利用者貸し出し資料」を自動印刷。利用者はこれは持ち帰るという流れだ。返却のときにカードは不要。休日や夜間は玄関脇の返却ポストを使用するのは、これまでと変わらない。

利用者にとっては、これまで図書を検索するのに50音順に整理された書名カードを手作業で探さなければならなかったが、電算化によってタッチパネル式のディスプレーを使って瞬時に検索できる。しかもこれまでは書名と著者名でしか検索できなかったのが、キーワードでの検索も可能になり、探している本以外の関連書も見つけられる。

また、4月1日からはインターネットによるサービスの提供も開始。資料検索はもちろん、少し遅れる可能性もあるが、予約や購入リクエストもできる予定だ。

検索できる図書館のホームページ

図書館にとっても電算化によるメリットは大きい。データベース化による図書検索の利便性向上は利用者と同様で、返却日を過ぎている利用者も簡単に一覧できる。これまでは手作業で返却日を過ぎた図書を抽出、利用者に督促状を送付していた。

また、電算化と同時に1人が借りられる図書の冊数の上限をこれまでの3冊から10冊に引き上げたのに伴い、さらに督促状の数が増えるのは確実。羽賀館長は「今は2か月くらいのサイクルで督促状を出していますが、これからはもっと短いサイクルで出さなければならないでしょう」。

電算化初日の21日はすでに大半の利用者に新しい登録者カードを郵送したにもかかわらず、古いカードを持参する市民が多く、「新しいカードを持ってくるよう協力をお願いします」と羽賀館長は話している。

関連リンク

「三条市立図書館」ホームページ
http://www.lib-sanjyo-unet.ocn.ne.jp/



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