新潟県クラフトマンクラブ会員で、県内の伝統技術の若手後継者5人でつくるグループ「工継舎」では、5日から10日までの6日間、三条市本町3、まるよし三条本店で工継舎展を開いており、作品を展示販売している。
メンバーは木、漆、布、銅などの若手職人で、足立照久さん=足立茂久商店・寺泊=、川村将さん=川村庚堂漆器店・村上=、高橋宏明さん=(有)高三・三条=、藤井健さん((有)富貴堂・燕)、山上あづささん=山上染物店・村上=。
5人は5年前、東京で行われた見本市で出会ったのをきっかけに、伝統技術の異業種交流を目的として「工継舎」を結成。今回は「工継舎」として初めての作品展で、実演も行っているので伝統の技を目の当たりにできる。
木工の高橋さんの作品は、ナラの木をベースに製作。イスでは、足の部分など力が加わる部分に強くて粘り気のあるカシや黒檀(こくたん)をおごる。家具やテーブルの組み立てに金属を使わず、すべて木だけでつなげていく「さしもの技術」という技法が特徴。ごみを少なくしようと、端材(はざい)も活用、加工してペンやフォトスタンドに生まれ変わらせている。
鎚起(ついき)銅器の藤井さんは、花器の緑青(りょくしょう)をふかせるために表面をザラつかせる「腐食技術」を銅のマウスパットに採用。アロマポットでは、伝統の技を現代風にアレンジして和洋の魅力を巧みに引き出す。
藤井さんは「ふつうは茶托を作っていますが、アロマポットなどは試作品を作り、分解してゲージを取って作ります。購入された方には気軽に使ってほしいですね」と語る。
足立さんの曲物(まげもの)技術は、本県産のスギを製材し、お湯に浸して柔らかくなったものを型に入れて曲面をつくる。ふだんは料理用のふるいやせいろを作っているが、今回は花立やお茶入れ、手を洗うひしゃくなど、スギを使った茶道具も展示販売している。
彫った木に漆を塗る堆朱(ついしゅ)の技術を継承する川村さんは、お盆やお椀をはじめ、ネックレスやブレスレットなどのアクセサリーにも挑戦。イヤリングなど小物アクセサリーにも精細な模様を施している。
染物の山上さんは、村上市内に2件しかない染物店の娘さん。自家栽培のハーブを茶染めの技法を凝らしたハーブ染めに力を注ぐ。ハーブで染めたショールは、自然のやさしい色合いと風合いが美しい。今回は堆朱の川村さんとの合作の屏風も展示している。
足立さんは「基本があって、その次に自分のやりたいことをどう表現していくかが大切だと思う」と伝統と独創性の調和を強調。川村さんは「同じ県内にいて、こういう伝統技術があることを知らなかった。モノづくりという共通する点があるので、話をしたり作品を見たりすることで刺激になるし、勉強にもなります」と、工継舎が生み出す一人では得られない刺激や新たな可能性に期待している。午前10時から午後7時まで、最終10日は午後4時まで開いている。入場無料。
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