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三条市大野畑、済生会三条病院(品田章二院長)は、25日から7月16日まで同病院で「杉山繁行-森のトロールたち展」を開いており、三条市一ノ門2、杉山額縁店の杉山繁行さん(42)がノルウェーのモンスター、トロール(Troll)をモチーフに描いた作品30点を展示している。 アクリル画、ペン画、スクラッチ、岩絵の具など多彩な手法で描いた、はがき大ていどからB3を超える作品まであり、同病院の外来棟2階の通路の壁面を利用したアートギャラリーに展示している。 杉山さんは、似顔絵やそれを立体的にした人形の制作で全国にも知られているが近年、注目し、精力的に創作しているのがトロールをモチーフとした作品だ。ミネルヴァの森「水と森林のイメージイラスト展」で優勝賞2回、越後湯沢全国童画展で入選2回と高い評価も受けている。 トロールは北欧神話にさまざまな形で現れる。魔物、怪物とされ、子どもをさらって食べたり、王女を誘拐して岩山に閉じこめたりする反面、どこか間抜けなところが憎みきれない。盗癖という習性は消えないものの、民話の中にも親切で人づきあいのよい種族として登場することが多い。 杉山さんがとくにトロールに明るいわけではなく、かといってトロールに関する情報を集めることにも決して積極的とはいえないが、逆に一面的な情報からトロールに対するイメージを制限せず、自由に広げた“杉山さんの”トロールをそのまま作品に投影している。 作品のトロールは、森の中で夜の音楽会やダンスパーティーに興じる。落とし穴に落ちた何か、タイトルからして恐らく人を穴の上からぐるりと取り囲んで見下ろす。大勢でキャンバスに群がって赤い屋根の家を描く。画面に静止させたトロールに杉山さんが封じ込めたストーリーを感じずにはいられず、まんまと杉山さんのマジックにのせられてしまっている。 闇の中にトロールをおいた作品が多く、全体に沈んだトーンだが、その中でも巧みに変化させた色や明度が作品に深みや厚みを増す。計算されたハイライトとの対比が見せる構図は、イラストレーターとしての力量がうかがえる。 一方でペン画では、描き込んだ繊細な線で巧みに陰影を表現し、デッサン力の高さは一目瞭然。かと思えば小石にトロールを描いたり、かまぼこ板に描いたり。作品を型にはめてとらえようとすればするほど、作品によって期待をあっさり裏切られる。杉山さんがトロールを自在に操っているつもりが、実は杉山さん自身がトロールを標榜しているのかもしれない。
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