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三条商工会議所(渡辺勝利会頭)と三条DIY振興会(小山喜一郎会長)は、27日午後5時からハミングプラザVIP三条で講演会を開き、(株)東急ハンズ・寺島修専務取締役を講師に「小売業からの提言〜エンドユーザーからみたメーカー・卸の対応は」のテーマで1時間半の講演を聴いた。 同会議所の会員の55社から120人聴講して会場は満席。はじめに坂本洋司副会頭が「先日、1,500人集まった全国の正副会頭会議で“我々が変わっても景気は変わらない”という話が出た。しかし、地場を扱っている会議所としては政治家に呼びかけ、商業の振興に関する予算を取って景気回復に結びつけていきたい」とあいさつした。 講演のテーマは。寺島専務が、東急ハンズの歴史と時代背景を話して本題に入った。 「流通のことをわからない者が始めたので、従来の流通とはまったく違ったものにしていきました。まず、派遣社員を使わず自分たちの社員を抱えること。返品を前提にした取り引きは行わない。仕入れ部を作らず販売部だけにし、販売部が仕入れを行うことにしました。決められた生活様式を売るのではなく、むしろ生活様式をお客さまに選択させる売り方を提案しました」と東急ハンズの原点を話した。 販売部が仕入れるということは、販売する権限があり、同時に責任も生じる。反面、そのことで他の小売業にはない達成感を味わうことができる。 売り場では、商品を客に選択させるため、社員の専門知識を前面に出し、POPを多くしている。客からの問い合わせに「ない」で終わらせないよう、代替品の紹介や取り寄せなどの対応を徹底。食品など取り扱っていない商品の要望があっても、近隣の店を紹介できるようなサービスを行うよう使命感をもった社員教育方針を話した。 「流通業は“売り場”ではなく“買い場”。そこでは材料を提案する。実際に社員が商品を使ってみて、いいところも使いにくいところもちゃんと言えるよう公平な情報を伝えることも大切です」。 最近の消費者ニーズに関しては「モノは充足し、過剰な情報が氾濫している。お客さまに我々が教えていただく時代になりました。今はメイド・イン・消費者です。利便性、機能性はあたり前でそれにプラスして感性、共感、雰囲気、心地よさなど精神的な満足が求められるようになってきました。生活の感覚が二極化し消費行動の中でお店選びなども区別しています。園芸用品もガーデニングの感覚ではやすらぎの世界を求めるようになりイメージが広がってきます。香りや音など癒しの商材が売れているのはまぎれもない事実。また、市場の動向は環境支援、健康志向、安全性などコンビニエンスからコンファタブルなモノやことに変わってきました」と説明した。 さらに、「何でも揃っているが欲しいものがないという声を聞きますが、お客さまは欲しいものを探し小売業は売りたいものを売っている。“今まではこの値段で販売していたものが今度はこのくらい安くなる”という二重価格もお客さまに不信感を与えてしまいます。もともと価格がわからないのに二重価格はないでしょう。店頭の価格と商品を見てお客さまが納得して初めてお金を払ってくれます」と小売業の現状とお客の価値観の違いを指摘した。 東急ハンズでは三条製品も数多く扱っている。その販売の現場の社員から三条製品についてアンケートしった結果も公表した。 「プラスの意見は、高品質である、価格がリーズナブル、ステンレス加工がトップレベル、金物産地なので情報が入りやすいなど。マイナスの意見は、中国製品に押されて価格が抑え気味、商品企画力が弱い、パッケージのデザインがだめ、価格のバランスがとれたさらなる向上を求めたい、スチール製品はしっかり出来ているがデザインが古い、介護やバリアフリーの視点を持ってほしいなど。もっと情報がほしいという意見もありました」。 これでも寺島専務は控えめにマイナス部分を表現したと思われるが、メーカーにとっては目新しさこそなかったものの、逆に社内体制やコストなどさまざま理由で改善できていないことが返って耳に痛い言葉となり、厳しい表情で聴き入っていた。 また、寺島専務は、シニア世代と言っても現在は活動的なシニアが増えてきている現状を踏まえ、生き様別のターゲット設定を提案。寺島専務は「トレンド情報が知りたいなら、とにかくお店を見てほしい。そして新しい商品を企画してほしいですね」と、消費者の動向を知るため店頭に足を運ぶようアドバイスした。 【関連リンク】 ■Copyright (C) kenoh.com Allrights Reserved. |
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