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27日までアフガン、エチオピアの窮状を伝える写真展(2002.1.27)

燕市とその近隣の有志が国際交流や福祉事業で地域づくりを考える市民団体「風の会」(斉藤紀美江会長)は、26、27の2日間、燕市宮町、カフェリベロでフリーカメラマン杉本祐一さん(45)の写真展を開いており、27日は午後1時半から同店で講演とビデオ上映会を開く。

右がフリーカメラマンの杉本さん、中央が風の会の斉藤会長

右がフリーカメラマンの杉本さん、中央が風の会の斉藤会長

杉本さんは北海道小樽出身、新潟市に住むフリーカメラマン。1994年、旧ユーゴスラビア内戦の交戦国クロアチアで難民キャンプやNGOを取材。翌95年に経済が混乱するモスクワ、96年にボスニア・ヘルツェゴビナ、セルビア・クロアチアで停戦合意の取材し、さらに内戦の続くアフガニスタンへ向かった。

その後もパレスチナ、イスラエルへ入国しヨてカザ地区を取材。昨年2月にはエチオピア南東部オガデン地方で深刻な飢餓の実情を取材するなど、自身も生命のリスクを背負いながら極限状態の地域に足を踏み入れ、その実情を写真で生々しく伝えている。

店内の展示写真

店内の展示写真

今回の写真展では、米国の同時多発テロ発生の背景となった地域の事情や歴史にフォーカス。取材した5,000枚を超す写真の中からエチオピアとアフガニスタンで撮影したフィルムを選りすぐり、店に入って左の壁にエチオピア、右にアフガニスタンと分けて写真を展示している。

エチオピアでは2,000万人以上が飢餓状態にあり、その中でも厳しい状況で遊牧民が暮らすオガディン地方で取材した写真36点を展示。写真には救護活動から1年たっても変わらないやせ細った子どもたちや機材も満足にない名ばかりの総合病院で消毒もせずに点滴を受ける人々の姿をとらえる。

アフガニスタンの写真は、学校に行けない子どもたちが生活のために働く姿や、地雷を踏んで両足と右手をなくした青年、塀に突き刺さった不発のロケット弾をレンズが切り取る。

その一方で、元気を取り戻す子どもたちの笑顔や、女性の姿をすっぽりと覆い隠すチャドルを脱いだ婦人の写真など、垣間見える人々のたくまくさしが多少でもほっとさせてくれる。

写真を解説する杉本さん

写真を解説する杉本さん

杉本さんは取材に4台のカメラと数十本のフィルムを携行していたが、今はカメラは3台に。杉本さんは、「カブール(アフガニスタンの首都)滞在中に野戦が始まり、外国人は全員殺されるから撤退するように指示を受けました。それで、3台のカメラと撮影したフィルムを持って着の身着のまま逃げたとき、ホテルに置いてきたニコンのFM2(カメラ)はタリバーンに取られてしまいました。その後カメラの返却を要請しましたが結局、返ってきません」と、当時の様子を生々しく語る。

斉藤会長は、「米国の同時多発テロを例にとっても、情報は一方的で本当に真実はどこにあるのかわからなくなっています。杉本さんの写真やお話を聞いて、多くの人にもっと現地の様子や正確な情報を知っていただきたいですね」と来場を呼びかけている。

27日の上映会では「私が見た戦争・難民〜パレスチナ・アフガニスタン・エチオピア〜」と題し、ビデオ上映のほかに講演会も行い、マスコミからは伝わらない生の現地の状況を紹介する。



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