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ハウスウェアやキッチン用品を企画、販売する明道株式会社(明道章一社長・燕市物流センター3)は、地元メーカーと企業体をつくり、ヨーロッパなど海外に向けの燕ブランド「SHA RA KU MONO(しゃらくもの)」シリーズを製造販売するプロジェクトをスタートした。 各企業の個性をベースに商品を開発、統一したデザインでシリーズ化を展開する。吉田金属(株)のデザイナーの山田耕民さんがデザインを担当し、燕市内のメーカーを中心に6社が参加。各社1点のカトラリーや鍋など「SHA RA KU MONO」を製品化している。 参加企業の仲介役を務め、シリーズの全体管理、販売管理を担当する明道の明道社長は「今、地域の活性化をどうやって進めていくか叫ばれていますが、私たちは金型など各企業が持っているものを活用して企業の枠を越えた企業体をつくり、個々のネットワークを活用しながら“燕産地”として世界に発信していこうと企画しました」と話す。 刃物で揺るぎない産地ブランドを確立したドイツのゾーリンゲン。ゾーリンゲンの名称が商品の品質を保障する。明道社長の考えは「燕のこれからはゾーリンゲンを目指す」こと。 ターゲットをヨーロッパを中心に海外に向け、スカンジナビア系のデザインに日本やアジアのテイストを加えた。シンプルで機能性とデザイン性を兼ね備える。ドイツのフランクフルトで開かれた家庭用品の見本市に出展、現地でも「自分たちの限界を越えたデザイン、日本の文化や精神的なものを感じる」と高い評価を得た。 すでにスェーデン、デンマーク、イギリスなどからオーダーがあり、近くアメリカのはニューヨーク近代美術館のカタログにも収録されるという。次は陶磁器の新商品をフランクフルトの見本市に出展を目指す。 一方で、商品というハードと併行して情報配信というソフトへも力を注ぐ。地元では各企業の金型、デザインといった情報の大半は企業秘密という扱いで、今回のように互いに情報を交換、共有してひとつのブランドを成立させた例はほとんどない。 そもそも明道社長がこうした企業間のコラボレートを明道社長が提案したのは、低価格で品質も向上した中国製品の日本進出や景気の低迷などの厳しい現状に、燕産地の危機感を感じたことにある。トップの世代交代が進み、同業他社との提携など経営者が柔軟性も身につけたという背景がそれを後押しした。 「今まで燕は値段だけの輸出をしてきたが、ここにきて中国のレベルが上がってきた。景気がよくなるのを待っているだけではどうしようもない。どうやって需要をつくっていくか。過去の売れ筋の品ぞろえだけでは売れないのは当たり前」と明道社長の見方は厳しい。 今後も「SHA RA KU MONO」の趣旨に賛同する企業の参加を歓迎するが、金型代などは各メーカーが負担するなど、それなりのリスクを背負い、力のある製品や特性を持っているといった条件がある。逆にシリーズに加えたい商品があれば声をかけていくこともあるという。 「このような取り組みを考えている企業も多いと思います。ただ最初に誰が手を上げて行動に移すか見守っている状態。誰かがやって成功事例をつくることが必要。燕という産地を見直し、将来的にはライフスタイルや生活空間もプロデュースするなど複合的に提案していきたい」と、明道社長の視線の先は広く、明るい。 ■関連リンク |
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