ニュースタンク
|
...見出し一覧へ
|
|
新潟学生無年金障害者の会が支援を求める(2002.6.9)
|
|
|
障害者年金が受けられないのは国の年金制度の不備として、国に対し障害基礎年金の支給と慰謝料を求めて訴訟を起こしている新潟学生無年金障害者の会(遁所直樹代表)では、世論の喚起と支援の拡大を図るため活動を展開している。
|
新潟学生無年金障害者の阿部正剛さん
|
新潟学生無年金障害者の会の三条市上保内、阿部正剛さん(35)は「障害年金はすべての人が受け取れるわけではありません。障害を負った初診日に国民年金に加入していること、障害認定日に一定以上の障害状態にあることなどの条件があります。でも、それを知らない人が多い。実際、私も知りませんでした」と話す。
平成3年4月以前、20歳以上の学生は国民年金に任意加入制だったため、わずか1%台の加入しかなく、99%は未加入だった。その99%は障害者になると障害年金を受け取れない無年金障害者になっていた。一方で、20歳未満で障害者となった場合は一生、障害年金を受け取ることができた。
平成3年4月以降は、法改正で20歳以上の学生は強制加入となり、障害年金を受けられないとうことはなくなったが、それ以前に障害者になった学生には適用されず、年金を受け取れない学生無年金障害者が全国で10万人を数えるといわれ、阿部さんもその一人。
阿部さんは昭和63年1月、東京の専門学校に通っていたとき、東京のディスコで3人の死者を出した巨大照明装置の落下事故に遭い、装置の下敷きになった。一命は取りとめたものの、脊髄(せきずい)を損傷、下半身まひの後遺症を負った。
障害年金を受けるため役所へ申請に出向いたが、国民年金未加入のため申請の受理を拒否され、そこで初めて学生無年金障害者の存在を知り、同時に法の矛盾に強い憤りを感じた。
「任意加入しなかったお前が悪いと言われましたが、任意加入制度は存在も知らなかったし、加入しなかったことで起こる不利益の告知もありませんでした」。
悪いことにディスコを経営する会社は間もなく倒産し、賠償金も全額を受け取ることができず、何も補償のないまま放置されている。「国は法の不備を認め、どの障害者にも平等に適用してほしい。国は学生無年金障害者の数もはっきり出していません。国会でも無視されているのが現状」と訴える。
そのころ、阿部さんと同じ境遇で新潟市に在む遁所(とんどころ)直樹さん(37)と知り合い、2人で新潟学生無年金障害者の会を立ち上げ、裁判を起こした。
阿部さんは車いすで家業の鍼灸院を手伝っており、「私より障害が重い遁所さんが頑張っている。私の力の源です。全国に10万人もいるのだから自分のためだけでなく活動していきたい」。
裁判の請求の趣旨は、社会保険庁が行った障害基礎年金を支給しない旨を取り消すこと、国は原告らに対し各2千万円の慰謝料を払うこと、訴訟費用は原告らの負担とすること、仮執行宣言の4点。昨年10月に新潟地裁で行われた第1回の口頭弁論に始まり、ことし4月に第4回口頭弁論が行われており、次回は6月13日。裁判の前に新潟市内など街頭で傍聴を呼びかけるビラを配っている。
三条市議会にも働きかけており、ことし3月に相田邦夫三条市議会議長名で国に意見書を提出。阿部さんも参加する三条市の地域たすけあいネットワークも活動を支援している。
「裁判は2カ月に1回のペースであと何年かかるかわからない。坂口厚生労働大臣は、法律の谷間で苦しんでいる人がいる以上、真剣に考えたいと話していますが、被告席にいる役人は大臣発言を本裁判には関係ないと責任をなすりあっている状態」と無益な引き延ばしを批判する。
「今、私たちに必要なのは大勢の人たちの支援なんです。薬害エイズの問題もハンセン病の問題も大勢の人の支援と世論が大きくなりました。どうか新潟訴訟を勝訴まで盛り上げていってくださる方のご支援をお願いいたします」と切実に願っている。
支援したい人や問い合わせは自立生活センター新潟(電話025-232-7245・新潟市小針1-30-2)の遁所さんへ。
■関連リンク
新潟学生無年金障害者の会
|