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吉田町西太田、ツインバード工業株式会社(野水重勝社長)は6日、次世代の新冷却システムFPSC(フリー・ピストン・スターリング・クーラー)をオランダ・グローバルクーリング社から技術導入して、小型FPSCの研究開発に成功したと発表した。 同社では、まず「FPSC-TB40」を開発、2003年度の発売を予定。従来のコンプレッサーやペルチェ素子による冷却方式とは異なり、ヘリウムガスを冷媒としたノンフロンのスターリングサイクル方式でガス式フリーピストンを採用した新しい冷却方式で、高効率エネルギー変換機器のため次世代のエネルギー変換機器として注目を集めるスターリングサイクル方式は、省エネをもたらす。 約1分でマイナス50度に達する急速冷却を可能とし、本体は1.6キログラムと小型軽量、精密な温度制御など数々の特徴をもつ。 同社は平成元年にペルチェ式の電子冷温庫やクーラーボックスを国内で初めて商品化した。ポータブル冷温庫を数多く開発、冷却技術を研究してきたが、さらなる機能向上を目指してグローバルクーリング社の技術を導入、開発を始めた。 これまで冷却モーターはアウトソーシングし、自社製品に組み込んできたが、技術開発で部品なども自社製産するのは今回が初めて。「TB40」は外側のステンレス部分を地元企業に外注する以外は、すべて自社で取り組む。そのため、商品開発はこれまで長くても1年ていどだったが、「TB40」は実に4年半を費やす。 FSCPは同社の新しい柱となる技術開発だけに、これまで開発費に5億8700万円を投入。今年度は量産品の試作に向けて3億円を設備投資する一大プロジェクトだ。 NASAや米軍で使われるスターリングクーラーは1台100万円もするが、同社では量産化により今のコンプレッサー並にコストダウンを目指す。小型軽量化は米国でも行われているが、精密加工技術は「トランジスタラジオのSONYの商品化のように日本が優れている」と同社の前沢一男常務SC事業推進本部長は日本の優位性に自信をもつ。 今後の課題について藤野仁同本部市場開拓部長は「品質を安定させて長寿命、量産化する技術開発に取り組みます。当初は小型冷凍冷蔵庫、小型冷水器などの業務用分野を中心に研究開発していきますが、小型軽量であらゆる電源での駆動が可能なので、たとえばアフガンやアフリカなどでソーラーパネル電源でクーラーボックスの薬を冷やすなど医療分野でも使えるのでは。次世代の冷却システムをどういうふうに生かせるか、用途開発がいちばんの課題でしょう」と話している。 6日に小型FPSCの研究開発の成功を発表すると、翌7日だけでも国内の測定器メーカーや半導体メーカーなど10件ほどから問い合わせがあった。同社は確実な手応えにプロジェクトの将来性への確信を深めている。 ■関連リンク |
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