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酒店の弥彦村弥彦、(有)弥生商店(羽生信二社長)は、古民家に魅せられたドイツ人建築デザイナー、カール・ベンクスさん(59)=東頸城郡松代町=のプロデュースで弥彦神社近くの敷地に松代町の古民家を移築した新店舗を建設している。 新店舗は「酒屋やよい」。松代町内に建っていた築200年の古民家を移築している。元は8間×5間の広さだが、移築先の敷地に合わせて5間×5間に詰めて建てている。 住む人がいなくなると家の傷みが早まる。その中から使える材料を吟味し解体、運搬して7月から建設にかかった。工事は松代町の大工が請け負い、仮組を行ってから本組へ。柱や梁(はり)に釘を使わず、くさびを打ち込む昔ながらの工法だ。 完成デザインは、伝統的な町屋の雰囲気で、160平方メートルの木造2階建て。1階は販売スペース、2階はギャラリーなどに利用できるフリースペースにする。地下には6畳ほどの“酒セラー”も設ける。 2階まで吹き抜けにし、意図的に梁を露出させることで、古民家の暗いイメージも消えるはずだ。内装には、らん間を横に使うなどヨーロッパテイストをプラス。ベンクスさんの完成を和と調和させる。 古民家の建設を決めたのは同店の三代目、羽生雅克さん(25)。巻町・カーブドッチへ出掛けて、たまたまベンクスさんと出会った。「新店舗の話をすると、ベンクスさんは古民家を移築して酒屋はできます、と答えてくれました。運命的な出会いを感じました」。 しかし、そのときはすでに別の業者と建設の話を進めていたため、家族は全員が反対。雅克さんは家族に繰り返し古民家の魅力を話し、「これ以上は考えられない」と時間をかけて説得した。 それから、古民家を探して近隣市町村を回ったが見つからず、ベンクスさんに相談して松代町の古民家を紹介してもらった。 ベンクスさんは、1966年に来日して以来、古民家の素晴らしさを実感し、夫婦で松代町に移り住んだ。古民家の再生や建築のデザイン、設計、施工を行うカール ベンクス&アソシエイト(有)の代表取締役。ドイツでは内装の仕事に就いており、以前から日本家屋に興味があった。 ベンクスさんは古民家の魅力を「日本の古い建築物は世界で一番素晴らしい。とくに新潟県は雪が降るため、柱や梁がしっかりしています。何百年も持ちます。今、同じ材料で新たに建築することはかなり難しいでしょう」と話す一方、「それがどんどん壊されていく。本当にもったいことです。大工さんも少なくなって日本古来の工法も失われていきます」と惜しむ。 それでも雅克さんのように伝統的な日本建築を理解する若者がいることを素直に喜ぶ。雅克さんは「古民家のよさを生かした味わいある店になります。弥彦神社が近いことで少しでも観光の役にたてればと思います」。弥彦神社で菊まつりが開かれる11月までの完成を目指している。 ■関連リンク |
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