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spacer燕市産業史料館で「渡辺裕之うるしの世界」spacer(2003.10.4)

燕市は3日から26日まで燕市産業史料館で企画展「渡辺裕之うるしの世界」を開き、漆芸作家の下田村塩野渕、渡辺裕之さん(33)の作品30点を展示している。

室芸作家、渡辺裕之さんとうるし絵の作品『女神』

室芸作家、渡辺裕之さんとうるし絵の作品『女神』

渡辺さんは、東蒲原郡鹿瀬町出身。幼いころに三条市に移り、県立三条高校を卒業、新潟大学教育学部で彫刻を学んだ。卒業後、渡米して日本の文化のすばらしさを再確認し、帰国後、富山県・高岡短期大学の漆コースで学び、さらに石川県金沢市の漆工房で修行して、1999年から下田村に工房を構えて創作活動を行っている。昨年の県展で県展賞に輝いている。

うるし絵『塔』

うるし絵『塔』

立体作品『金剛』

立体作品『金剛』

県央地域での渡辺さんの個展は2年ぶり。作品は、ことしから本格的に始めた和紙に描く「うるし絵」が中心で、木版に描いた作品や漆と布でボディを作った立体像などを展示する。

うるし絵は黒漆で輪郭を描き、その上から飴色の漆を全体に塗る。乾いたら顔料を混ぜた漆でアースカラーを基調にピンクやオレンジ、ブルーに彩色。伝統的な漆塗りでは得られなかった微妙な色合いを生み出す。

その手法で完成させた作品『女神』では千手観音のようなたくさんの手を持つ女性を描き、『塔』では五重の塔を背景にゾウに乗る少女を描く。太さが均一でない線が味わい深い。

渡辺さんは「作品を見た人がほっとできるような、和んでくれるといいな」という思いで創作。「格調高いものもいいと思う。でも、それは自分がやらなくてもいい。自分のやりたいことを表現していく。紙は乾きが速く、思ったものをすぐに表現でき、今は紙に描くことが楽しい」。いろいろな技法に挑戦するのは、さらに新しいことを始める準備と話している。

休館日の月曜と、祝日の翌日を除いて毎日午前9時から午後4時半まで開いている。入館料は高校生以上300円、小中学生100円。土、日曜と祝日は燕市内の小中学生と小学生の付き添いの保護者も1人は無料。問い合わせは同史料館へ(電話:0256-63-7666)へ。

■関連リンク

arrow【県央の県展賞】工芸部門の渡辺裕之さんspacer(2002.5.17)