初めて、燕市展審査をさせて頂きました。色んな作品傾向で楽しく審査できました。指導者層のたゆまない指導によるものと思います。表現力、構成、余白の配慮等、充実した作品に出会えた事は嬉しい限りです。作品の制作に当たっては、物真似でなく如何に自己に忠実に、そして自己主張が何より大切です。入賞された方々の作品は、洗練された線質、造形等に勝れています。日頃、古筆、古典の勉強が不可欠と思います。
・市展賞「養和」坂井真知子
金文二字をバランス良く配置し、デフォルにより余白を生かしています。 ・新潟日報美術振興賞「千字文之一節」米山醴泉 款書千字文で表現しています。大胆な運筆を心掛けて下さい。 ・奨励賞「万葉集」渡辺文子 ダイナミックな運筆で力強さを感じさせる。余白に配慮し、構成面も成功しました。 ・奨励賞「許渾詩」霜鳥黄華 整然と配置し見事、なんと言っても線質、味わい深い作品です。 ・奨励賞「いづくにか」服部美也 横に散らした作品ですが、明るく、線質も穏やかで、弾力性もあり暖か味を感じさせ、潤滑の場もよく見せ場を作っています。 ・奨励賞「杜甫詩」半間渓雲 きりっと書いていて全体を引きしめています。これに線に弾力があったら尚、いい作品になると思います。少しかたさがあります。 ・奨励賞「五言二句」山田溪州 古文をうまく纏めています。線も強い。惜しむらくは處々の太い線が目障りです。
・奨励賞「治身清素」熊谷積雲
線質もすばらしい、字形が揃いすぎた感あり、落かんは見事です。野性さが欲しい気がいたしました。
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