三年連続して審査に当たらせてもらいました。創作は今迄の自ら新しく上質に切り拓くものであると自覚して、対象にエネルギーを傾注していくものであると思います。 私が見た三年の中で、このスタイルで描けば入選(入賞)する筈だと変化を見せずに搬入しようとしている人もいる。同じモチーフ(対象)にしても『おや!今年は新しい視点で捕らえている』と感じさせてほしいものです。
これからの市展へ出品する人達へ要望として抽象・半具象をめざす人はシャープさを、具象を追及する人には視点の新鮮さを望みます。
・市展賞「廃する(B)」刈羽綾子
刈羽綾子氏は明るく堂々と対象と四つに取り組んで、がっちりと画面にはめこんだ構成は素直でいい。色彩も背後の明るいターコイスブルー系が赤とひびきあって歴史も感じさせている。 ・新潟日報美術振興賞「残雪の頃」廣田タカシ
廣田タカシ氏は前面に立ちはだかるように水門を屹立させ、上端の水門とあわせ対してお互いが語り合っているのもいい。又残雪が曇空の下でぴりっと画面をひきしめているのも良好である。堂々としてきた。
・奨励賞「里山に抱かれて」佐藤恒次
対象をじっくりと描き進めている。家の背後にある杉の二本の木によってこの画面はいかされている。それが画面を高く、大きく見せている。これから訪れる春の喜びを表現した。 ・奨励賞「大きくなったら II」長谷川満里子 二点とも佳いものがあるが、これがパンチがきいている。赤系を思いっきりつかってみてはどうだろうか。 ・奨励賞「時 I」石川京子 立体派的に表現していてこちらの方を佳しとした。画面全体からすれば下部の組み立てが弱い。床面をもう少しみせて構成した方が下部の構成の意識が出てきて追及されてくるのではないか。 ・奨励賞「楊貴楼 13」斉藤久子 また出て来たと思った。唯、今迄のものと赤が粗雑に使われている魅力がある。もっと違った面から描いてほしい。このエネルギーは貴重です。一転して新しいモチーフに挑戦する事を祈ります。 ・奨励賞「読み耽る」中野勝 夕方の情景なのか、それが自然の状態で表現されている。もう少し先の新鮮さがほしい。筆触を今後生かしていってさわやかさを表現し、伝えていってほしい。
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