絵画等と異なり立体造形を行う時には、素材と技術の持つ特色をどう活かすかが重要になります。しかし、それらは必ずしも作者にプラスに働くだけでなくマイナスに働く場合もあります。そのマイナスのところを作者がどのようにプラスに転じるかが作品に活力を与えオリジナリティを生みだすことにつながるでしょう。 ・市展賞「線象嵌花入」海藤泰治 白泥を叩いた跡と青化粧土の象嵌による軽快なストライプに、大胆に空けられた四つの空洞が調和している作品です。ただ、壷の上の口は思い切ってふさいだほうが良いと思います。 ・新潟日報美術振興賞「春と修羅」大橋保隆 地場産業の銅板による彫金の作品です。とてもモダンな感じがするのですが、蓋物という器の形態を取らずに上部の銅の部分だけで展開した方が良いと思います。 ・奨励賞「山容、冬へ」佐藤春子 正面から見た開口部のうねりと釉薬の流れが力強さを醸し出しています。後や横から見た時の形にもう少し気をつけるともっと良くなりそうです。 ・奨励賞「心の葛藤」_岡忠雄 様々な着色技法を使われた彫金の作品です。面のモチーフを使わないで彫金技法と着色技法から出てくる現象を見せるような作品を期待します。 ・奨励賞「練込壷」川_右一郎 練り込み技法によく見られるキズが無い労作です。次回は模様の出方に一工夫されると良いと思います。 ・奨励賞「野」川上さゆり 粘土の持つ形を写し取る特色や、焼成によって有機物が焼失するという特色を活かした作品です。残念ながらヒビが入っていますが、今後の展開が楽しみな作品です。
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