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12日まで燕市産業史料館で三条市の漆芸作家の「渡辺裕之うるし展」(2005.6.3)
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燕市産業史料館では、3日から12日まで同史料館で企画展「渡辺裕之うるし展」を開き、漆芸作家の渡辺裕之さん(34)=三条市塩野渕(下田地区)=の作品30点余りを展示している。
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12日まで燕市産業史料館で開かれている「渡辺裕之うるし展」
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渡辺さんは、東蒲原郡鹿瀬町出身。幼いころに三条市に移り、三条高校を卒業、新潟大学教育学部で彫刻を学んだ。卒業後に渡米、帰国すると富山県・高岡短期大学の漆コースで学び、さらに石川県金沢市の漆工房で修業。
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会場の渡辺裕之さん
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1999年から旧下田村に工房を構えて創作活動を行っている。現代工芸展で入選や入賞、日展で入選、県展の県展賞にも輝いており、30歳代前半で県内有数の工芸家として認められている。 同史料館での作品展は、一昨年に続いて2回目。前回は木版の平面作品が中心だったが、今回は木彫に漆を塗った立体像が中心で、トチやケヤキを素材にした立体像7点を展示。 ほかにも漆とおがくずを混ぜた漆粘土を木につけて形をつくる「木芯乾漆(もくしんかんしつ)」技法などの立体の作品5点余り、さらに蒔絵(まきえ)や螺鈿(らでん)、漆柄の技法を凝らした平面作品10点余りも展示する。
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渡辺さんの立体作品『おに』
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木彫の作品は2003年に創作を始めた。普賢菩薩(ふげんぼさつ)をイメージして初めて制作した『ふげん2003』、そのシリーズで制作した『ふげん2004』、『ふげん2005』を並べて展示している。 高さ約45cmの女性像『おに』は、片手は刀を持ち、片手は頭の上に一本指を突き立ててて角を表現。昔、鉄づくりの現場で働き、火で髪や肌が焼けた人を「おに」と呼んだことにかけたもので、力強さのなかにもユーモラスで優しい表情の作品が並ぶ。 渡辺さんは「平面は正面からだけですが、立体は前も後ろも全部の角度から表現できるおもしろさがある。木の彫刻に漆を塗ることでイメージが変わっていくのもおもしろい」。漆芸と彫刻の両方を学んだ渡辺さんならではの世界を見せている。 初日3日に訪れた燕市内の女性は、「あったかみがありますよね」、「なんか渡辺さんに似てますね」と立体作品を360度の角度から鑑賞していた。
休館日の月曜を除いて毎日、午前9時から午後4時半まで開いている。入館料は高校生以上300円、小中学生100円。問い合わせは同史料館(電話:0256-63-7666)へ。
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