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[NUM総合講座リポート・10/13]小林貞夫小林工業(株)代表取締役社長(2005.10.23)
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平成17年10月13日
テーマ:「価値の伝承」
講師:小林工業株式会社 代表取締役社長 小林貞夫
新潟経営大学 4年 曳田 純
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新潟経営大学4年曳田純さん
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今回の総合講座は燕市で銀食器を製造、販売しておられる小林工業の4代目社長である小林貞夫様にご講演をしていただきました。
「価値の伝承」という演題で、自社製品の銀食器を通じて、創業から受け継がれているモノの価値をいかに廃らせることなく、今に生かしていくかという、とても興味深い内容でありました。
ご講演の前に、受講者に小林氏の簡単な紹介文と一緒に小林工業の製品(ラッキーウッドブランド)のカタログが配られ、自分はさっそく開いて見てみました。ひと通り見て思ったのが、カタログ全ページの半分以上がスプーン、フォーク、ナイフの内容で占められていた事でした。つまり、それだけこの3つの製品に力を注ぎ込んでいるのだなと感じました。実際カタログを見ていても、そのバリエーションの豊富さからも、何か訴えかけられているような感じさえ覚えました。
スプーン、フォーク、ナイフというと普段の生活では、食事の時以外特に使う事もなく、ましてやよほどのこだわりでもない限りは、ブランドや質感などを気にとめる事などまずないでしょう。実際、自分もそうでした。しかしカタログを見るうち、そして講演を聞くうちに自分は考え方が変わりました。
燕の洋食器産業は、小林社長のお話では、江戸時代以来の伝統産業である鎚起銅器を基礎として成立したそうです。もともと長いものづくりの歴史があったからこそ、世界で高く評価される製器を作り出せたのだという事が理解できました。
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小林貞夫小林工業(株)社長
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戦後はアメリカの不売運動など、貿易摩擦もあったのですが、燕は地域をあげてこれを乗り切り、オリジナルブランドとオリジナルデザインを持つに至ったとのことでした。
小林工業のブランドであるラッキーウッドは、日本人の口のサイズや手のサイズにぴたりと合う製品に仕上がっているそうです。講演の中で小林氏は、口に入れるものだからこそ、目立たせてはいけない。いかに、あらゆる食事の場面に自然に溶け込み、使う人に不快を与えずにスムーズに運ばせる「名脇役」に仕上げるかが大事ということを話されました。
この言葉を聞いて自分は、この「脇役」に賭ける思いが、演題にもある「価値」なんだと考えました。そして、前述したカタログを見た時に訴えかけられたような何かとは、これだと自分なりに理解しました。講演時間は1時間ほどでしたが、自分にとってモノの見方が変わった興味深い1時間でした。
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