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県央研究所が地元のスギヒラタケからシアン化合物を検出、採取別に含有率に差(2005.11.4)
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三条市吉田、(社)県央研究所(高野雅志理事長)は4日、平成15年ころから急性脳症を引き起こす可能性が問題になっているキノコ、スギヒラタケの毒性試験に関する報告を行った。
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スギヒラタケを採取するところ
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スギヒラタケは古くから食用のキノコとされる。地元三条市などでも「カタヒラ」の名で親しまれているが、新潟や東北で原因不明の急性脳症が発生し、スギヒラタケを原因とする説が浮上したが、今も原因は明らかになっていない。
一方、ことしになって浜松医科大学が、急性脳種との関係は不明としながらも、スギヒラタケから生体の呼吸作用を止める働きのあるシアン化水素を検出したことを発表した。
その発表を基に県央研究所では、地元のスギヒラタケを確認しようと今秋、三条、下田、出雲崎の3カ所でスギヒラタケを採取し、シアン化水素の含有実態と調理別消長の試験を行った。
その結果、3カ所で採取したスギヒラタケすべてでシアン化合物を検出。致死量は60mgとされるが、1kg当たりの含有量は三条15.78mg、下田18.43mg、出雲崎39.52mgと採取地によって2.5倍の違いがみられた。
さらにスギヒラタケを水洗い、水浸漬、水煮、油いため、それらを組みあわせた一般的な調理法でシアン化合物の除去率を調べた。水煮は10分から15分でほとんどを除去でき、水浸漬や油いためでの除去は難しかった。
高野理事長は、この試験は「あくまでも急性脳症とのかかわりはなく、食べないようにという行政指導に異を唱えるものではない」とし、地域の実態把握と一般的調理法による消長の検証のために行ったと強調した。
そのうえで、採取地別のシアン化合物の含有差が何を意味するかわからないが、決して小さな差ではないと指摘、今後の研究課題とした。また、経年的な変化なら「スギヒラタケがわれわれに何かのメッセージを送っているのでは」と話した。同研究所では、本格的研究を次年度へ向けて着手する。
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