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ケンオー・ドットコムの夏休み自由研究〜アブラゼミの羽化(2006.8.13)

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長引く梅雨で例年になく短かっただろうセミの季節。盆を迎えてすでにピークから終盤と思われるが、12日深夜、アブラゼミの羽化を撮影し、動画にした。

セミの羽化。尻を殻から引き抜いたところ。

セミの羽化。尻を殻から引き抜いたところ。

アブラゼミの羽化

新潟のこんな田舎に育ちながら、セミの抜け殻は山ほど見たが、羽化のシーンを一度も見たことがなかった。このままでは一生後悔する(笑)と、昨夏も羽化の観察に挑戦したが、セミの幼虫を見つけられなかった。

ことしはとくに幼虫を探していなかったが、たまたま近所で幼虫を見つけた。さっそく大切にガラス瓶にお入りいただき、部屋のカーテンにつかまらせてその一部始終を観察。写真に撮り、それを動画にした。

収録した写真は12日午後11時23分からほぼ3分間隔で撮影した。一定の間隔で撮影するタイマーのような装置はない。キッチンタイマーを合図にと思ったが、こんなときに限ってそれが見つからない。

思いついたのが音楽。3分間の曲を見つけ、それをエンドレスでループ再生して、1曲終わるたびにシャッターを切ればいい。

こういうときに音楽再生ソフト「iTunes」は便利。一瞬で再生時間順で並べ変え。ぴったり3分間の曲が数曲見つかり、その中から景気づけ(?) と肺がんと闘う忌野清志郎へのエールも込めてRCサクセションの『キモちE』を選んだ。

せっかくなので、動きがあるシーンは一部、ビデオカメラでも撮影。ただ、あまり明るいのは気の毒かと、電灯をつけてのビデオ撮影の時間は短く、デジカメ撮影も露出時間を数秒間に長く設定し、最低限の明るさにし、なるべく自然に近い環境をと配慮したつもりだ。

腹筋の要領で体をゆっくり持ち上げる。

腹筋の要領で体をゆっくり持ち上げる。

初めて見るセミの脱皮は想像通りドラマチックだった。幼虫の背中を割って大きく後ろへ反り返る。そこで体力を使ったのかいったん小休止。それからじわじわと再び体を持ち上げる。ちょうど腹筋運動のような感じで、見ている方にも力が入る。

体を持ち上げたら、殻の背中につかまる。次は尻の方を殻から抜くだけ。ここがいちばんのハイライトで、しっかり殻にしがみつき、もぞもぞするように尻を殻から引き離す。

ついさっきまで、よく殻の中に歩いていたものだと感心する。人間にすれば、ぴっちりしたよろいを着ていたようなものなのだろうか。

あとはどこでも見かける成虫の姿になるのを殻にぶら下がって待つだけ。殻から抜けた幼虫は白くて透明感があり、殻にあるうちから見えた体の両わきの緑色の部分は、羽のいちばん外側の筋のような部分になった。

観察は羽根が茶色になり始めたところで終了。背中を割ってから殻から全身を抜くまで1時間余りと、想像していたより早い。翌朝、カーテンを見ると抜け殻だけが残っており、無事に成虫となって飛び立っていったようだ。

子どものころ、夏休みの自由研究を一度もまじめにやった覚えがなく、今までこれがいちばん自由研究らしい体験となった。夏休みも残り半月余り。セミの羽化の観察は生命の神秘にふれられる身近な体験となるはずで、夏休みならではの観察を体験してもらいたい。

ちなみに県央地域などでは、セミの幼虫のことを「もず」と呼ぶことが多い。全国的には、なぜか唯一、北海道の札幌市などで同様に「もず」と呼ぶらしい。

北海道へ渡ってのちに日魯漁業となる堤商会を創業した堤清六(1880−1931)、北海道の百貨店、丸井今井の創業者、今井藤七(1849−1925)はともに旧三条町(今の三条市)出身。また、三条から北海道へ開拓に渡った人も多い。

最近でこそ、三条市丸井今井邸の保存で注目されたが、地元では三条と北海道のゆかりの深さはあまり知られていない。もしかして北海道の「もず」の呼称は三条人がもちこんだのでは?と考えてみるのもちょっと楽しい。