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日本古来のたたら製鉄を検証しようと岐阜県関市の技術者の指導で三条で小だたら操業の実習(2006.9.19)
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三条商工会議所の三条市伝統地場産業振興事業推進協議会は、三条地域の企業にもっとも関連の深い鐵(てつ)のルーツを伝えるため、日本古来のたたら製鉄法を検証しようと16、17の2日間、三条鍛冶道場で労働省一級金属熱処理技能士の尾上卓生さん=岐阜県関市・尾上高熱工業代表=の技術指導のもと小型の炉を使った「小だたら操業」の実習を行った。
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三条鍛冶道場で行われた小だたら操業の実習
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たたら製鉄とは、アニメ映画『もののけ姫』にもでてきた方法で、原料の砂鉄を木炭を燃やすことによって還元(製錬)し、日本刀などの材料に使われる玉鋼のもとになる「ケラ」と呼ばれる鉄のかたまりを造る。同協議会では、昨年、三条市では100年ぶりになるのではという日本古来の鐵造りの取り組みを始め、今回と同じ小型の炉で比較的短時間でできる小だたら操業を初めて行っており、今回が2回目。
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たたら製鉄を指導した尾上卓生さん
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実習は三条鍛冶集団と三条包丁組合青年部にあわせて所属する25歳から37歳の若手鍛冶職人8人が参加。初日16日は、朝から夜まで一日掛けて鍛冶道場の体験場に高さ110センチ、縦横70センチに耐火れんがを組んだ上に鉄製の高さ70センチの煙突をのせた炉を造った。2日目は午前9時に火入れをして操業。
煙突からさらに1メートルほどに炎が立ち上る中に、約30分に1回2、3キロの砂鉄と炭を交互に煙突部分から入れて、けらを産出。午後4時55分に火を消したあと炉を壊し、炉の下の部分にいくつものかたまりとなってできたケラを取り出して、溶かしてまとめる「おろし鐵(かね)」という作業を午後9時ころまで行った。
炉の中は1200から1300度で、外側は130度近く。炉から1m以上離れていても顔が焼けるような暑さのなか、参加者は玉の汗を流しながら操業を見守った。ふだんの仕事で火にはなれている参加者でも、炎の中にスコップで砂鉄を入れたり、ざるで炭を入れる時には思わず「あっちぇ〜!」。
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赤丸で囲んだ球形の部分が、たたら製鉄で生まれた鉄
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その作業を見守っていた尾上さんは、「鐵造りの原点を若い人にどう受け継いでいけるのか。(教える人がいるうちに)若い人に一生懸命勉強してもらい、いい伝統を残してほしい」、「若い人がやってくれるのはありがたい」と話していた。また、炉は女性の子宮にたとえられ、炉の中で鐵の命が生まれ、育っていくとたとえられており「どんな子ども(ケラ)が出てくるのかどきどきする」とも。
19日に後かたづけをしていたメンバーらは、今回できあがったケラの状態は「去年に比べればまし」という程度と言い、「まだまだわからないことばかりで、難しい!」。今はケラを造るところまでだが「将来的には上質な玉鋼を造って刃物を造りたい。次こそは自分たちの手で!」、「1年に1回では忘れてしまう部分もあるので、半年くらいに1度体験ができればいいんだけど」と意欲的だ。
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