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三条市とイオン、パルム1号館の引き渡し期間を約3年5カ月猶予で合意 (2007.9.19)
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商業施設「パルム」1号館の賃貸借契約問題で地権者から権利の買い取りを求められていた三条市は19日、前日18日に権利の過半数を所有するイオン(株)との間で引き渡し期間に約3年5カ月の猶予を設けることなどで合意したことを明らかにした。三条市はパルム1を取得せず、猶予期間中にパルム1の新たな買い受け先を見つけるのに努め、その間、年間約2,800万円の固定資産税全額相当の助成制度を設けるなど必要な支援措置を講じるとする基本姿勢を決めてこの日、パルム1の地元共有地権者や市議会に説明した。
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地元共有地権者に説明する国定三条市長
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パルム1号館の権利は、スペースを特定せずにイオンが58.5%を所有し、残り41.5%を地元地権者42人が共有。過半数を所有するイオン(株)と施設管理会社の第三セクター・三条昭栄開発との定期建物賃貸借契約が平成20年3月24日に満了することで、イオン側が契約更新の考えがないことなどから、来年3月のパルム全館閉館が心配されていた。
固定資産税を払い続けているイオンと固定資産税分に充てるための家賃収入が得られない地元地権者らはそれぞれ、三条市に権利の買い取りを求めているが、国定勇人市長は法的にも契約的にも市とパルムの関係はないが、中心市街地の活性化のなどの観点で行政として何らかの方針を打ち出さなければならないとしていた。
三条市とイオンの協議で、イオンは平成20年3月24日の期間満了以降、契約を更新しないが、通常6カ月ていどの引き渡し期間を平成23年8月31日までの約3年5カ月の猶予期間を設けることとして前日18日に合意がなされたという。
三条市の基本姿勢は、パルム1を取得しないが、平成20年3月24日までを目途にパルム1の新たな買い受け先を探し、それが不調でも平成23年8月31日までは引き続き買い受け先を探し、必要な支援措置を講じることしにした。
買い受け先には、用途や形態といった前提条件を設けず、取得金額も制約を与えずに間口を広く構える。地権者には、平成23年の引き渡し猶予期限とし、新しい取得者への譲渡までか、平成23年までのいずれか早い方の期間、固定資産税等相当額の助成制度を設け、テナントは平成23年8月31日までは営業継続が可能とした。
三条昭栄開発には、基本的な市の方針に従って事務を進め、今後は完全な維持管理会社に徹し、支出の効率化と体制の縮小を含めたスリム化に努めてもらう。引き渡し猶予期間中のテナント料などの取り扱いは、地元権利者分の約2年間の固定資産税がイオンに対して未精算になっていることから、基本的には三条昭栄開発の内部保留とし、取り扱いはイオンとの協議で決めることを求めた。
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記者会見する国定市長
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買い受け先が決まったら、使途は取り壊しの可能性も含めて買い受け先にゆだねるが、平成23年8月までとしたテナントの引き渡し猶予期限の承継を求め、買い受け先にも平成23年8月か、テナントがすべて退去するまでのいずれか早い方の期間、固定資産税等相当額の助成制度を設ける。さらに、商業(物販)用に使用する場合に限り、現在のフロア面積相当を上限に2年間、固定資産税等相当額の2分の1の助成制度を設けることとした。
19日午後の記者会見で国定市長は、権利を買い取らないことについて、市の厳しい財政状況と今の行政サービスにパルム1の取得が必須ではない状況だが、中心市街地の中核的な場所に位置し、市場原理のなかで買い受け先を探す方がいいと判断したと述べた。
さらに、今回の決定にはパルム存続を求める1万人の署名も重く受け止め、イオンも署名を勘案してくれた結果と話した。平成23年までの猶予期間約3年5カ月という期間と市長の任期との関係についての質問には、自身の任期とは関係ないとし、テナントとの話し合いなどを意識したときに必要な期間とした。
また、地元地権者に対しての説明会に出席した人は、「期日を延長しただけで、地権者はどうしたらいいかわからない」と、期待していたような方針は示されなかったと不安な表情で話し、近々、地元地権者で話し合いの場を持ちたいとした。
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