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三条市議会の小中一貫教育等調査特別委員会が「小中一体校の問題を考える市民の会」から意見聴取 (2010.9.7)
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三条市議会の小中一貫教育等調査特別委員会(西川重則委員長)は6日、第一中学校の小中一体校建設事業について、基本設計案についての経緯を教育委員会から説明を受けるとともに、「小中一体校の問題を考える市民の会」から、同会が問題としていることなどの意見を聴きいた。
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6日開かれた三条市議会の小中一貫教育等調査特別委員会
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この日の委員会は、8月27日の同委員会での協議結果に基づいて調査・研究を行うものとしており、「基本設計案が当初イメージと基本的な部分が異なっていることについて」市教育委員会から説明を受けて質疑。小中一体校の問題を考える市民の会において、小中一体校建設に対し問題とされている事柄、心配されている点などについて」同会からの意見聴取と意見に対する質疑を行った。
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説明する松永教育長
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小中一体校の問題を考える市民の会の意見聴取は、8月に同会から議会との懇談をと求めたことから各派代表者会議で協議。その結果、議会としての懇談は行わないことととしたが、同特別委員会の場で参考人として意見を聴く機会は設けられると回答し、この日の同会からの意見陳述となった。
小中一体校の問題を考える市民の会から、外山晴一会長とメンバーの元校長、桜井昭さんの2人が出席。外山会長が同会では小中一貫教育のなかで一体校について多くの問題点があると考えている、今回は問題が多く発生している一中学区を主として陳述するとして意見や質問などを述べた。
同会の市への要望として、反対派の多い集会でも市長や教育委員会から出席し説明てほしい。現時点では問題の多い一体校を白紙に戻し地元の意見を聴いて納得のいく説明をとして、アンケート調査の実施。一中学区の3小学校と一中を現地に残し、耐震校舎に建て替えてほしいとの3つを示した。
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参考人として発言する小中一体校の問題を考える市民の会の外山会長
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参考人への質疑などを行った。同委員会ではこの日の委員会の意見陳述などを調査研究の参考にしていくとした。
同委員会以外の市議などの傍聴も見込まれたことから、通常の委員会開催の部屋より大きな全員協議会室での開催だったが、最近にはない大勢の30人の市民が傍聴に訪れる関心の高さで、傍聴人用のパイプイスを次々と並び、部屋はいっぱいだった。
小中一体校の問題を考える市民の会の意見聴取は、外山晴一会長と同会メンバーで元校長の桜井昭さんの2人が出席し、外山会長が中心に意見などを述べた。外山会長の意見陳述の全文は次の通り。
2010年9月6日
小中一貫教育等調査特別委員会 意見陳述
小中一体校の問題を考える会
会長 外山晴一
【はじめに】
本日は小中一貫教育等調査特別委員会で意見を述べる機会を与えて頂きありがとうございます。私は、ご紹介頂きましたように「小中一体校の問題を考える会」の会長の外山晴一と申します。委員会の貴重なお時間を頂き感謝申し上げます。私どもは小中一貫教育の中で、とりわけ小中一体校については多くの問題点があると考えておりますが、議員の皆様からも私どもの考えにご理解いただき、要望をお聞き頂きたいと思います。今回は問題が多く発生している一中学区を主として陳述させて頂きます。
【考える会設立の経緯】を述べます。
妻からのすすめで今年の5月10日に第一中学校で行われた「第3回地域連携部会」に参加しました。その時、市より提出された一体校の図面は一階が小学1年生、四階が中学3年生になっていました。中学生は階段を元気よく降りて来ます。これでは小学生は怖がります。ましてや中学生が荒れたらどうなるのでしょうか。不登校の小学生が増えます。このように誰が見ても恐くなり、問題を感じる校舎の設計提案をした石本建築事務所をプロポーザル方式で選んだといいますが、なぜこの会社が選ばれたか疑問に思いました。他の会社の提案内容も公開して、同社を選定した理由を明らかにするべきと思います。ましてやこの会社は三条市が選ぶ直前まで大阪府枚方市から指名停止処分を受けていた業者です。
また、この計画は歴史と伝統があり、地域に溶け込んでいて、かつ適正規模である四日町小、条南小、南小を潰し、一中と統合して三高跡地に作るというものです。小学校は地域社会の要です。小学校がなくなれば地域は崩壊します。また、新しくできる一体校も中学生が荒れれば終わりです。一中学区に小学生が通う学校がなくなります。こうなると、嵐南地域のみならず、三条市全体が衰退します。国と県と違う教育システムをこのように拙速に導入すれば失敗する確率は極めて高いです。失敗すれば、三条市に来たい人がいなくなり、逃げ出す人が多くなります。
多くの人は一貫教育や一体校のことをよく知っていません。たとえば6・3制が4・3・2制になるなど基本的なこともほとんどの人は知りません。こういった状況の中で設計事務所を決め、校舎の建築だけがどんどん進んでいるのは大問題です。教育は国家100年の大計といわれています。もっともっと慎重に進めるべきです。
同じような考えの人が集まり「小中一体校の問題を考える会」を立ち上げて私が会長になりました。
【三条市が進めている小中一体校の問題点】
(1)中学生が荒れた場合のリスクヘッジがない。
- 中学生は荒れやすいです。同じ屋根の下に小学生と中学生を入れて中学生が荒れたら小学生には甚大な影響が出ます。不登校児童の増大が予想されます。「一体校で中学生が荒れたらどうするのですか?」との問いに対する、小中一貫教育検討委員会委員長の答えは「中学生が荒れないようにするために一体校にする」です。まるで答えになっていません。
2年間も議論してきたといいますが、その結果がこのような答えですから、小学校児童の視点に立った議論はまったくなされていなかったと思います。「中学生が荒れたらどうするのか」との質問には市の理事者側からも納得の行く答えが返って来ません。
中学生の暴力行為だけでなく、携帯電話、タバコ、性の問題などを小学生に直接見せるのは教育上よくありません。
(2)小学校は地域の拠点
- 明治政府は財政難の中でも山間へき地、離島にいたるまで全国に歩いて通える小学校を建設しました。これが近代日本の基礎を作りました。それを市はいとも簡単に小学校を3つも廃校にするといっています。これでは地域が破壊され、衰退します。
(3)スクールバス通学
- スクールバスでの通学は子どもの体力を奪い、地域の人々とのコミュニケーションの機会を無くします。子どもは歩いて学校に通うことで体力をつけ、地域の人々に触れ合い、社会勉強をします。
また、遠くなることにより、車で送迎する親が多くなることが予想されます。親の負担が増え、学校の周りの交通渋滞が心配されています。
「統合に際しては、通学上著しく困難な状態が生ずることは避けなければならない」との国の方針に反しています。
(4)教育の内容が明らかでない。
- 一体校の教育内容が明らかでないのに校舎の図面を見せ、意見を聞くのはおかしいです。一貫教育や一体校の教育の中味の議論をしないで校舎だけ議論しています。直ちに小学校1年生から中学3年生までの教育カリキュラムを明らかにして下さい。
- 現在の6・3制を東京都品川区や広島県呉市と同じように小学1年生から4年生、5年生から中学1年生、それと2年生と3年生の三つに分けた4・3・2制とするとのことですが、5年生から中学と同じように学科別の教育をして中学のカリキュラムを前倒しにするのでしょうか?中間テスト、期末テストをするのですか?その場合、県と違った教育システムになりますが教員を確保出来るのでしょうか?また、小学5年生から中学1年生は一部教科担任制にするといいますが一部の意味は具体的にはどういうことでしょうか?5年生、6年生も教科担任制を取り入れるということでしょうか?
他の市町村と違った教育システムは転校生や転勤してきた先生に混乱を与えます。
- 運動会はどうするのでしょうか?9学年をいっしょにするのでしょうか?それでは出番が少なくなり、子どもにとってつまらなくなります。別々では一体校ではありません。
- 三条市がモデルとしている品川区では小学生にも7〜8万円の標準服が強制されています。それに夏服、冬服があり、親の負担は10万円をかるく超えます。伸び盛りの小学生の親の負担は大変です。三条市では親の制服負担はいくら位と考えていますか?
- 校長は2人だとうことですが、これで一体校と呼べるのでしょうか?二人の校長は4・3・2制で分担するのでしょうか?図面には校長室が二つあり、(中)(小)となっていますので、6・3制で分担するのでしょうか?
- 先生の数は一体校になったら増えるのですか、減るのでしょうか?つまり先生と生徒の比率はどう変化するのですか?この計画は合理化が目的なので一体校になったら、先生は減ると聞いていますが、実際はどうなのでしょうか?
- 部活動は小中学生がいっしょにするのですか?体力的に劣る小学生に「しごき」の問題が起きる可能性を心配されます。
- 一体型校がよいというなら全学区を一体型校にすべきです。三中学区では分離型一貫教育です。
(5)市政だより
- 8日16日の「広報さんじょう」に一貫教育のQ&Aが載っていましたがそのQ3の答えの表の説明文に「呉中央学園(広島県呉市の一体校)の実績から」とあり、平成14年から19年にかけ不登校生徒や問題行動生徒が激減している表が載っていました。市民には平成14年に呉市は一体校を作り、直ちに効果出ているように思わせています。実際、呉市に一体校が出来るのは平成23年、つまり来年です。
- また、Q5の答えでは「小中一体校を建設している都道府県」との説明で、新潟県も建設している都道府県として網がけした日本地図が載っています。新潟県では三条市が提案図面を議論しているだけです。また、県の方針は小中一体校建設ではありません。これも市民に誤解を与えます。
(6)マンモス校
- 一中学区では適正規模の3つの小学校をつぶして1,500人ものマンモス校を作ります。時代に逆行しており県や国の方針とも違います。市の教育サービスの低下です。一人一人の子どもに目が届きにくくなり、成績の格差が生まれ、逆に不登校生を増やす危険があります。
また、一ヶ所に集めていると、災害のとき被害が大きくなります。例えば火災の時、三条市には対応出来るはしご車の台数がないと聞いていますが、いかがでしょうか?耐震の建物でも新潟地震のときのように流砂現象が起きれば崩壊します。この点からも子どもを一ヶ所に集めないでリスクは分散しておくべきです。
(7)中一ギャップ
- 市は中一ギャップをなくするため一体校をつくると説明していますが、一体校は小学6年生がリーダーシップを発揮する機会と中一デビューの感動を奪います。
- 中一ギャップそのものも三条市では現在、ほとんどないといわれもいます。市はどのようなデーターを基に一体校を作らなければならないような深刻な中一ギャップがあるといっているのでしょうか?ありもしないような中一ギャップ解消のためだけで、このような教育の大変革を行い、子どもや地域にリスクを負わせるのは止めてもらいたいものです。
(7)アンケート調査
- なぜ多くの住民が要求しているアンケート調査をしないのですか?市は多数が反対ないし、よく理解していないのが明らかになることを恐れているようです。つまり住民の意思を無視して建築を進めようとしています。
- これは「無理な統合を行って地域住民間で紛争を起こすことは避けなければならない」との国の方針に反しています。
(8)不明確な用語の定義
- 市は小中一貫教育と小中連携教育をはっきり定義しないまま使っていて、市民に混乱を与えています。多くの市民は一貫教育と小中学校の連携を同じものと考えています。しかし市は全く別なものとして使っています。小中学校の連携はあたりまえであり、今もやられていてなんら問題はありません。問題は市が進めている6・3制を4・3・2制に変える一貫教育であり、一体校です。
- 教育委員会は8月23日に南小学校のPTAに対し「一体校には施設一体型校と施設分離型校があり、三条市としては同一敷地内にあれば離れていても一体校と見なす」などと詭弁を弄して説明しています。こういう詭弁やいい加減な言葉の使い方が市民を混乱させ、議論をしにくくしています。悪質です。
【いままで会としてやって来たこと】
- 8月4日午後7時から嵐南公民館で約500人規模の集会を開催しました。「小中一体校計画を白紙に戻し、子どもと地域を考えた学校を作ろう」との大会決議を行いました。市長、教育長にも出席頂き、一体校の良い点を説明頂きたかったのですが出席頂けず残念でした。
- 街頭署名運動をはじめ、署名活動を行いました。今日現在で、8600名の署名が集まっています。
- 8月12日に私たちの話を聞いて欲しいと議会への要望書の提出をしました。お聞きとどけ頂き、本日、この場で、意見を述べることが出来ありがたく思っています。
【市への要望】
会として市への要望を改めて述べさせて頂きます。
- まずは今後集会を開催していく場合、反対派が多い集会であっても市長や教育委員会から出席して、説明して頂きたい。
- 2点目は、現時点では一体校は今、申し述べましたように、多くの問題があります。まず、白紙に戻し、地元としっかり向き合って話を聞いて納得のいく説明をして下さい。そのためにも「アンケート調査」を実施して頂きたい。
- 3点目は一中学区の四日町小、条南小、南小、一中を現地に残して、耐震校舎である南小学校以外をすみやかに耐震校舎に建て変えて頂きたい。なお、南小は耐震校舎ですので、この方が安く出来るとの意見もあります。
【最後に】
市への要望はこの3点にまとめさせて頂きました。以上で「小中一体校の問題を考える会」としての意見陳述を終了させて頂きます。大変ありがとうございました。
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