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10月17日まで燕市産業史料館で漆芸作家、渡辺裕之さんの「ぼくのあやしいさんぎょうしりょうかんてん」 (2010.10.1)
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燕市産業史料館では、10月1日から17日まで同史料館で「渡辺裕之 ぼくのあやしいさんぎょうしりょうかんてん」を開いており、三条市下田地区に工房を構える漆芸作家、渡辺裕之さん(40)の独創的でイマジネーションあふれる漆版画や木彫作品を展示している。
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10月17日まで燕市産業史料館で開かれている「渡辺裕之 ぼくのあやしいさんぎょうしりょうかんてん」
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渡辺さんは旧鹿瀬町、今の阿賀町の生まれで新潟大学教育学部で彫刻を学んだ後、富山県、石川県で漆を修行。1999年に三条市、当時の下田村に工房を開設した。
翌2000年に日展、日本現代工芸展と相次いで初入選し、さらに01年に日本現代工芸展工芸賞を受賞、02年に県展賞受賞。その後も日展や日本現代工芸展で入選を重ね、03年には秋田県で制作し、ことし10年は山口県をメーンに制作活動を続けている。
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「さじかげんのに」
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「をんなぱいぷ」
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「さじたち」
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同史料館での作品展は、早くも3回目。平成15年はインクに漆を使った漆版画や漆絵、17年には漆塗りの木彫を中心に展示。今回はさらにそれらの進化形ともいえる38の作品でアプローチする。
中央に展示しているのは、高さ数十センチの木彫の立像や座像。時計回りに昔の作品から最新作へと順に配置して創作の変遷を表出。上から見ると前後、左右とシンメトリーな作品配置は、曼荼羅(まんだら)の世界観をなぞる。曼荼羅には「胎蔵界曼荼羅」や「金剛界曼荼羅」があるが、作品にも「たいぞうのれんげ」や「こんごうのれんげ」がある。
ほとんどはケヤキが素材で、木の塊感が強く、プリミティブに抽象化した造形。見方によって東南アジア的だったり、逆に無国籍的だったり、宗教的だったり、古代を連想させたりと、見る人の想像力をかき立ててくれる。
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版画「ばやし」
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渡辺さんにとって史料館は慣れ親しんだ作品発表の場でもあることから、今回は史料館の施設をテーマにしたのがユニークだ。史料館では燕の産業の礎を築いた洋食器や煙管(きせる)コレクションを展示しているが、渡辺さんの作品でも、手にさじを持った木彫の「さじかげんのいち」や「さじかげんのに」、機能より造形を追及した漆塗りのさじの「さじたち」や、さじの皿の部分に赤ちゃんの顔を埋め込んだ「さじのあかんぼ」。さらに顔や体を装飾した「をんなさじ」や、煙管の代わりにたばこのパイプ「をんなぱいぷ」も。
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新潟日報で連載された渡辺さんの版画
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版画は漆をインクに使って彩色を施したものもあるほか、新潟日報に連載した版画と文も展示し、渡辺さんの多彩な表現力や手法を目の当たりにできる展覧会となっている。
日曜3日は午後2時から3時まで渡辺さんによる作品解説会を開く。参加は申し込み不要だが、入場券が必要。作品鑑賞や解説会への参加を呼びかけている。
会期中は10月4日と12日が休館。開館時間は午前9時から午後4時半まで、入館料はおとな300円、子ども100円で、土、日曜と祝日は燕市内の小中学生と付き添いの保護者1人が無料。
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