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国道289号八十里越の県境をまたぐ最長の9号トンネルが貫通、秋晴れと真っ盛りの紅葉に歓迎されて貫通式 (2010.11.8)
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一般国道289号の交通不能区間、本県三条市−福島県只見町間の八十里越(はちじゅうりごえ)。その県境をまたぐ9号トンネルの貫通式が7日、現地で行われ、両市町の首長をはじめ約300人が参列して貫通を祝い、八十里越の工事の無事と早期開通を願った。
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貫通の儀で貫通発破の点火
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八十里越は、本州を横断し太平洋と日本海を結ぶ一般国道289号のうち、新潟県三条市(旧下田村)から福島県南会津郡只見町にかけての延長約19kmの峠越え計画区間。昭和61年度に事業化、平成2年度に用地着手、平成9年度に工事用道路などの工事着手、平成9年度から本線工事に着手した。
9号トンネルは、八十里越の14本のトンネルの中で最長、新潟県側1,702m、福島県側1,471mの延長3,173m。平成14年度に新潟県側からの一方向で掘削を始め、平成18年8月に県境を通過、約8年を費やして貫通した。
同所は豪雪地帯のため、積雪期は工事を休まざる得ないが、24時間2交代で行われ、1日に2、3mのスピードで掘削が進み、この日の貫通式なった。
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左から佐藤卓之県議、目黒吉久只見町長、国定勇人三条市長、竹山昭二県議
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八十里越周辺は紅葉が真っ盛りで、全山紅葉と呼ぶにふさわしい秋の彩りに包まれた。絶好の秋晴れにも恵まれ、マイロクバスなどに乗り合わせて9号トンネルへ向かう参列者は、道中も行楽気分で車中から紅葉狩りを楽しんだ。
午前11時から紅白幕を張ったトンネル坑内の福島県側出口近くで式典を行った。貫通の儀、通り初めの儀、樽御輿(たるみこし)交換の儀、鏡開き、乾杯などと続いた。
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9号トンネル坑内で記念写真
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貫通の儀では、貫通点の発破を爆破させるセレモニーを行った。発破のスイッチを押したのは、国道289号線(吉田勿来線)建設期成同盟会の会長代行佐藤信秋参院議員と顧問の菊田真紀子衆院議員、塚田一郎、中原八一参院議員、そして地元の国定勇人三条市長、目黒吉久只見町長、国土交通省北陸地方整備局の大寺伸幸道路部長。
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貫通点に立つ国定市長、その背中には福島の紅葉が広がる
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サイレンを鳴らしてカウントダウンに続き、いっせいにスイッチを押して点火。坑内に「バン、バン、バン、バン」と爆破音が響き、トンネル出口に張られていた暗幕が落ちて、光とともに福島県側の景色が目の前に現れると列席者から「うわ〜っ」と自然に声が上がった。
無事貫通を確認して工事関係者が報告したのに続き、通り初めの儀では、トンネルの両端を国定勇人三条市長と目黒吉只見町長をはじめ両県、両市町の行政や議会、工事などの関係者、両市町の中学生らがそれぞれ歩いて進み、貫通点の中央で握手を交わした。
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三条市下田中と只見町只見中が一緒に万歳
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トンネル出口からは、福島県側に続く道路はまだ工事中のため直接、通行はできない。しかし、福島県側から9号トンネルの数100m目前までは道路ができており、暗幕のはずれた福島県側には、景色とともに只見町の住民など60人余りが横断幕を掲げるなどして歓迎した。
列席者は貫通の儀の握手のあとにそれぞれが、式典参列者に向かって万歳三唱。続いて、回れ右をして、福島県側の只見町住民らに向かって、「福島県のみなさ〜ん、貫通しました〜」と大きな声で伝え、再び万歳三唱をしてともに貫通を祝った。
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右に伸びる工事用の橋さえ通過できればそのまま福島へ抜けられる
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貫通の儀に参加した三条市立下田中学校の3年生西川友康君は、福島県側からの風を感じながら大きな声で万歳の発声を行い「気持ちがいい感じがした」。只見町立只見中学校の1年生目黒大成君らは、全線開通までには、もう15年くらいかかると聞いたと言い、「開通は30歳くらい(になっている)、早く通ってほしい」と、まだ想像できないくらい果てしなく遠い時間に思いをはせた。
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福島県側で横断幕を掲げて歓迎する関係者
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また、開通したら只見町自慢の「ブナの原生林を見に来てほしい」と期待。只見町から国道252号をバスで2時間半もかけて訪れただけに、大声で叫べば声が聞こえるくらいの距離にいた福島県側の人たちを見て「歩いて帰りたいくらい」と話していた。
同トンネル工事は、今後、覆工コンクリートや排水工などを行い、完成を目指す。
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