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燕市産業史料館で人間国宝玉川宣夫さんの金工展が開幕、作品から職人としての玉川さん、伝統の技の系譜を振り返る (2010.12.3)
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燕市産業史料館(南部卓館長)は、3日から23日まで「玉川宣夫 金工展〜回帰・薬罐屋(やかんや)の頃〜」を開き、先に重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された金工家、玉川宣夫さん(68)=燕市花見=の作家というより職人として制作した作品を中心に集めて展示している。
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3日から23日まで燕市産業史料館で開かれている玉川宣夫金工展、作品を説明する玉川さん
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初日は3日は午前9時半からオープニングセレモニーを行い、玉川さんは妻恵子さんと夫婦で参加。燕市や教育委員会、市議会、美術関係者など約60人が出席した。
南部館長は、開式のあいさつで、この金工展は昨年からの計画で、その開催を前に玉川さんが人間国宝になったことを喜んだ。
鈴木力市長は、玉川さんがことし9月に人間国宝となり、燕市の第10代、新市になって初めての名誉市民となったことを紹介。燕市に伝わる鍛金(たんきん)の技術を高度に確立し、とりわけ「木目金(もくめがね)」の技法で独自の作風を習得、生活用品を芸術の粋にまで技術を高めた。
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初日3日のオープニングセレモニー
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また、玉川さんの祝賀会である県議に「市長さん、あんたはついてるよ」、「市長に就任してすぐに人間国宝が誕生して」と言われ、なるほどと思ったエピソードを紹介。燕市で市長として取り組んでいくうえでも「いいスタートが切れたのかなあと、玉川さんには感謝しています」。
「玉川さんの作品、そして燕市の技術、文化というものをどんどん情報発信していただければ」と金工展に大勢の人が来場してくれることを願った。
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あいさつする玉川さん
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あいさつに立った玉川さんは、金工展の開催に、「晴れがましいことで、ありがたく思っております」と礼を述べ、同史料館学芸員から「昔の職人の気持ちで作ってくれないかと。木目金はちょっと抑えて出してくれと」いう意見に賛同して取り組んだことを話した。
毎年行っている公募展の作品制作が終わった7月28日、ちょうどその日に文化庁から連絡があり、本来は「この展覧会に向けてもうひと仕事、ふた仕事したかったんですけれども、忙しいことが重なりまして、それ以後は作品作りが間に合わなかった」と新作が少ないことを残念がった。
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玉川さんの火鉢や湯沸で茶をふるまう
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また、兄弟子ではもちろん、それ以外の職人からも技術を学んだと言い、「連綿とした職人の技って言いますか、つながりと言いますか、そういうのを今回、少しでも皆さんに見てもらって認識を新たにしてもらえればありがたい」と話した。
初日は特別に玉川さん作の火鉢や湯沸(ゆわかし)で茶を入れて参列者にふるまった。木目金の湯沸も使う何ともぜいたくな茶。鈴木市長は早稲田大学時代、ものづくりに関するレポートで「地元に鎚起があるじゃないか」と夏休みに帰省し、毎日、史料館へ通い、「優」をもらったことを懐かしく思い出していた。
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金工展の展示会場
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会場には花瓶、煙管(きせる)、急須、湯沸、香炉、水指(みずさし)など49点を展示。うち9点が「木目金」。種類の違う金属を何層にも重ね、彫って鍛えて木目を思わせる文様を生む高度な技術で、玉川さんを人間国宝にまで押し上げたのは、木目金の技術を極めたからこそだ。
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「銅 足長 鼎式香炉」一枚の銅板からこんなにも長い脚が延びる
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そうした玉川さんの高度な技術はもちろんだが、一方で今回の金工展では技術の系譜にスポットライトを当てている。玉川さんが働いた鎚起銅器の玉川堂は、かつて「薬罐屋(やかんや)」と呼ばれた。その原点に戻り、玉川さんがひとりの職人として玉川堂で磨いた技を凝縮した実用性を備えた作品が中心だ。
さらにあいさつでも話したように、玉川さんが外の職人から学んだ技も紹介する。玉川さんは今は合併して燕市になった燕市と分水町の職人で、たがいに技術を磨き合う研究グループ、水燕鎚工会(すいえんついこうかい)の発足メンバーのひとりでもある。
技術の向上にどん欲で、燕市の最後の煙管(きせる)職人と言われた野島厚次さんに学んで作った煙管、孫弟子に当たる高橋繁さんに長い足をつくる技を学んだ足長鼎(かなえ)式香炉なども展示している。
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第四展示室の特集展示「玉川堂の名品展」
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また、第四展示室でも特集展示「玉川堂の名品展」を行っている。玉川堂二代以降の歴代当主の作品数十点を展示。実用品であるがゆえに現存する古い作品は少ない。歴代当主の作品を順に追って見るだけで、その作風の違いは歴然で、伝統を守ることだけにとらわれず、常に革新を続けて今の玉川堂があることを知らされる。
午前9時から午後4時半まで開館、会期中の休館日は6日、13日、20日。入館料はおとな300円、子ども100円で、土、日曜と祝日は燕市内の小中学生と付き添いの保護者1人まで入館無料。また、5日午後2時から3時まで玉川さんによる作品解説会が開かれる。
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