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玉川宣夫金工展の作品解説会に約100人が参加し、目を輝かせて玉川さんの言葉に聞き入る (2010.12.6)
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燕市産業史料館(南部卓館長)で23日まで開かれている「玉川宣夫 金工展〜回帰・薬罐屋(やかんや)の頃〜」で5日、9月に重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された金工家、玉川宣夫さん(68)=燕市花見=の本人による作品解説会が開かれ、約100人が詰めかける盛況だった。
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5日開かれた玉川宣夫金工展の作品解説会
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同展では玉川さんが作家と言うよりも、燕伝統の鎚起銅器の職人として制作した作品を中心に49点が展示されている。玉川さんはそれら作品に使われた素材や技法について順に解説した。
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作品を順に解説する玉川さん
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なかでも来場者の関心が高かったのは、玉川さんが極めた木目金(もくめがね)と呼ばれる技術。斉藤優介学芸員が概要を説明、江戸時代の刀のつばの装飾技法として始まり、明治以降は秋田の伝統工芸と細々と受け継がれてきた技術で、必ず間に銀を入れ、銅、赤銅と主に3つの金属を重ね合わせて地金を作ることなどを紹介した。
その重ね合わせる金属の枚数について、玉川さんの「本当にいいものは25枚くらい、まあまあなのは21枚くらい」に、来場者は「おーっ!」と驚きの声を上げた。
同業の職人仲間も来場し、とても一枚の地金が打ち出したとは思えない長い足をもつ香炉に、最初は玉川さんも作り方が「わからんかったよね〜」に、来場した仲間は「一緒に勉強したねえ」と研さんした昔を懐かしんだ。
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ざっと100人の来場者で会場はぎっしり
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また、銅が3、銀が1の割合の四分一(しぶいち)と呼ばれる合金を使った作品の説明では、「ぶっちゃけた話、木目金を失敗したとか、いろいろくずが出るんです。捨てるのがもったいなから」と、溶かして四分一に使い、そうやって地金を捨てないように心掛けていると話した。
長年、職人として腕を磨いてきた玉川さんから出る言葉は、人間国宝の称号すらかすんでしまう説得力。会場は玉川さんの移動もままならないほどの来場者で、汗ばむほど人いきれで蒸し暑かったにもかかわらず、目を輝かせて玉川さんの話に聞き入っていた。
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