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燕市産業史料館で「燕の鉄工所展」、燕の鉄工所を木型を組んだ機械の再現や機械の動作音の展示で紹介 (2011.1.16)

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燕市産業史料館(南部卓館長)では、14日から30日まで地場産業シリーズ「燕の鉄工所展」を開いている。戦後の燕の産業を牽引した洋食器産業とともに歩み、支えてきた洋食器製造の産業機械を生産した燕の鉄工所に注目。機械の木型を組んで機械を再現し、機械が発生する音の展示も行い、意欲的な展示となっている。

早川鉄工所の木型を組み立てて復元してみた左がパワープレス、右がリフレクションプレス

早川鉄工所の木型を組み立てて復元してみた左がパワープレス、右がリフレクションプレス

洋食器製造に使われる機械は、主に鉄板から洋食器の基本的な形を抜き出す地抜きに使われる「パワープレス」、先端などを薄く延ばすのに使われる「圧延ロール」、模様やスプーンの皿のくぼみなどを作るのに使われる「フリクションプレス」がある。

展示物のメーンとなっているのは、1924年(大正13)に燕駅前で創業した早川鉄工所の木型で再現した圧力が当時の50トンのパワープレスと25トンのフリクションプレス。頑丈さが必要な機械のフレームなど主要な部品は鋳造で作られる。鉄を流し込む鋳型を作るのが木型だ。

あくまでも部品をつくるひな形のなので、仕事で木型を組む立てることはない。今回は早川鉄工所の倉庫に保存されていた木型を展示用に組み立てた。ひとつの機械の木型すべてそろっていないので、違う種類の機械の木型と組み合わせたり、それでも足りない部分は強引に角材で補った、ある意味、キメラだ。

木型には木目が浮かび上がり生命感さえ感じる

木型には木目が浮かび上がり生命感さえ感じる

木型は見分けやすいようにというのか、青やオレンジに着色されている。当たり前だが、色がはげた所には木目も見える。完成した機械は金属の色しかないが、木型を組み合わせるとポップでもあり、キッチュでもあり、木からは生命感も。現代アートを見るような趣さえ漂わせ、今までに機械に感じたことのない視座を与えてくれる。

そして、今も国内の洋食器を代表するブランド「ラッキーウッド」を製造する小林工業=燕市南5=の工場で録音したパワープレス、圧延ロール、フリクションプレスの音を収録してそれぞれCDに録音し、会場の壁3カ所に設置した3台の音楽プレーヤーからそれぞれの機械の音を流している。

音の展示、右の丸いCDプレーヤーで洋食器を製造する3種類の機械の作動尾音を流す

音の展示、右の丸いCDプレーヤーで洋食器を製造する3種類の機械の作動尾音を流す

単調なリズムを繰り返す機械音に包まれ、しばらく会場にいると工場の中で過ごしているような感覚になり、工場の音を子守歌のように聞いて育った“燕もん”なら遠い昔の郷愁を味わわせてくれるはずだ。

明治時代、長岡市の石油産業にまでさかのぼり、長岡市・日本機械製作所が初めて燕の洋食器製造の機械を作ったとされる歴史、燕の鉄工所は早川鉄工所に始まり、そこから坂口鉄工所と霜鳥鉄工所が生まれ、さらに霜鳥鉄工所から阿部鉄工所、小林鉄工所、深海鉄工所、米山鉄工所、片岡鉄工所が生まれた系譜の紹介や、昔の鉄工所が製作した活版印刷の機械のパンフレットも展示している。

早川鉄工所の圧延ロールのパンフレット 深海鉄工所のフリクションプレスのパンフレット

早川鉄工所の圧延ロールのパンフレット

深海鉄工所のフリクションプレスのパンフレット

ことしは燕市で金属洋食器が製造されてちょうど100年の節目の年でもあり、その皮切りにふさわしい展示。洋食器の製造にしぼった鉄工所にスポットを当てた展示は極めて異例で、逆に言えばそれを作った鉄工所に関する資料や記録はあまり集積されておらず、同史料館では今回の展示を機械に来館者や市民からの情報、資料の提供にも期待している。

会期中は17日(月)と24日(月)が休館日、 開館時間は午前9時半から午後4時半まで。入館料はおとな300円、子ども100で、土、日曜と祝日は、燕市内の小中学生と付き添いの保護者 1人が無料。問い合わせは同史料館(電話:0256-63-7666、メール:sangyoshiryokan@city.tsubame.niigata.jp)へ。