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新潟県広報コンクールで人間国宝・玉川宣夫さんの大胆な特集を組んだ燕市の広報紙が4年連続の知事賞受賞 (2011.2.10)
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平成22年度新潟県広報コンクールで、燕市の広報紙「広報つばめ」平成22年12月1日号が4年連続の知事賞を受賞した。昨秋、同市初の人間国宝(重要無形文化財保持者)となった金工家、玉川宣夫さん(68)=花見=の特集号とも言える大胆な構成で、玉川さんの快挙に広報紙が県コンクール4連覇の花を添えた。
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燕市の「広報つばめ」が4年連続で知事賞受賞、受賞した12月1日号を手に広報紙担当の楡井さん
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新潟県広報コンクールは新潟県広報協議会の主催で毎年、前年に発行された県内市町村の広報を対象に行われ、「広報紙」、「一枚写真」、「組み写真」、「広報映像」の4部門で審査される。
燕市は、17件の応募だった「広報紙」で、長岡市の「ながおか市政だより」11月1日号とともに上位2点の知事賞に選ばれた。また、「一枚写真」では、玉川さんを撮影した写真が入選している。
知事賞受賞の12月1日号では、36ページの紙面のうち、3分の1に及び12ページを玉川さんの特集に費やした。伝えたいのは、「燕市か人間国宝が誕生したこと」と「名誉市民でもあるその人は、決して大きな顔をするような人ではないということ」と始める。
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知事賞受賞の昨年12月1日号の表紙
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作品の紹介や知人への取材から玉川さんを職人、作家という一面だけにとどまらず、人間性を立体的に浮かび上がらせ、実像に迫った。入選した作業場で玉川さんが足で材料を固定し、金づちを振り下ろす姿をとらえたカットはもちろん、写真も秀逸だ。
大胆な特集に評価が大きく分かれると予想されたが、審査員評では広報紙とは思えない紙面づくりが評価された。さらに特集に限ってすべての漢字にルビ(ふりがな)をふる初めての試みもプラス評価された。
「玉川さんを紙面に出すことができただけで満足」と話すのは、地域振興課広報広聴グループで広報紙を担当する楡井弘人(にれい・ひろひと)さんだ。燕市が合併して最初の年は入選だったが、その翌年からの4年連続知事賞。旧吉田町の時代から広報紙を担当して足掛け9年になり、旧吉田町でも知事賞受賞を重ねた立役者ともいえるが、「今回は玉川宣夫さんという題材に助けられたと思います」と謙虚だ。
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玉川宣夫さんの特集ページの冒頭、見開きにわたる玉川さんの写真も「一枚写真」の部で入選した
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人間国宝が決まる前から12月1日号は玉川さんを特集する計画だった。昨年12月に燕市産業史料館で開かれた玉川さんの作品展にあわせようと計画していたが、夏に人間国宝となることが決まって、編集方針も大きく変更した。
玉川さんの人生、歴史を追う内容をメーンにと考えていたが、人間国宝となったことで玉川さんがさまざまなメディアで紹介され、書こうと思っていたことが先に広く紹介されてしまった。そこで、作品や周辺取材に力を入れた。
「大げさな表現にならないように、かといって足りないということのないようにそのバランスが難しかった」と、できる限り事実を正確に、客観的に伝えようと心掛けた。
当初からの特集のねらいは、産業史料館の玉川さんの作品展へ市民から足を運んでもらうことだった。実際、玉川さんの作品展には、産業史料館で過去最高の来館者があり、「広報が微力でも力になれたのかなという感じはあり、それを聞いたときは、すごいうれしかったですよ」と楡井さんは喜ぶ。
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小中学生が読みやすいようにすべての漢字にルビをふった
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また、今回の特集の大きな特徴が、ルビをふったことだ。紙面がうるさくなることを承知で小、中学生にも読んでもらおうという一心から。「地元を誇りに思って子どもたちがこれから玉川さんみたいになりたいと思う人が出てきてほしい」との願いを込めた。
人間国宝の価値からすれば、今回の特集でも「まだまだ足りないくらい」と楡井さん。知事賞を励みに広報紙づくりに「今後とも頑張るだけですね」と話している。
知事賞受賞作品は、この後、開かれる全国広報コンクールに推薦される。新市になってから3度、全国広報コンクールで入選しているが、各部門の頂点1点だけに贈られる特選はまだない。その審査結果はゴールデンウイーク明けに発表の見込みだ。また、受賞作品の12月1日号は今も燕市のホームページで閲覧、PDFをダウンロードできる。
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