技術を形にして新たな販路拡大にもつながればと、金型製造業の株式会社サンシン(小島勝美社長・三条市西本成寺2)はことし1月、オリジナル商品「ペット用アルミ位牌(いはい)」を発売。自社サイトでのネット販売にもかかわらず、この2カ月で30件ほどの注文を集める人気だ。
オールアルミの削り出しで、高さ十数センチほどの大小2種類あり、価格は小さい方が2万1,000円、大きい方が3万6,750円。表にペットの名前など好きな文字を彫って墨入れする。アルミなので軽く、表面の金属の光沢が美しく、インテリアにもなるほど高級な質感が魅力だ。
実際には注文は既製品より特注の方が多いくらいという。価格は別に見積もりとなるが、素材を真ちゅうに変えたり、位牌の上に犬型を付けたり、大きさを変えたり、金メッキで豪華にしたり。ペットのイラストや写真をかたどることもあり、さまざまな要望に応える。もちろんイヌやネコ以外のどんなペットでも注文を受ける。
また、人間用のアルミ位牌の注文を受けたことも。先立たれた妻と自分の名前、親の名前を記したもので、丈夫でさびにくいアルミの位牌を末代まで残したいという願いが込められていたようだ。
ペット業界が成長しており、友だちからペット用の位牌の製作を勧められたのがきっかけだった。昨年12月に東京都大田区で開かれた燕三条技術交流展 in TOKYOに出展、アルミ位牌も展示したところさっそく何件か注文や問い合わせがあり、ことし1月に本格的に販売を開始した。
アルミ位牌を企画したのは小島雄介常務。同社は金型製造を受注生産しているがリーマンショック後、「このままではいけない。自分の会社の商品がほしい」とオリジナル商品の開発に取り組んでいる。
一昨年、NHKの大河ドラマ「天地人」のブームにあわせてそれにちなんだメダル型の携帯ストラップをつくった。アルミ位牌はそれに次ぐオリジナル商品第2弾。金型製造の技術を存分に生かしている。
特注製品の生産は、完成までにユーザーと20回も電話でやり取りすることがある。「技術を形にして見せることが難しかった」と小島常務。自社の技術をアピールするにも「自社製品があるとないとじゃ全然、違う」と言い、「日ごろの受注にもつながり、相乗効果にうまくつながっていけば」と期待するとともに、多様な受注により同社にはない技術をもつ会社との連携も視野に入れている。