三条市出身で東京でイタリアンレストランを経営する小松岳史さん(39)が、都内のパスタメーカーや三条市内で料理教室や農産物生産をする知人などの協力を得て、「自分にできることから」と三条市内3カ所の避難所で炊き出しを行い、三条産の野菜たっぷり使ったイタリアンスープ「ミネストローネ」などを味わってもらった。
小松さんらは、21日昼に体育文化センターで「地元野菜たっぷりトマトソースのパスタ」など約150食、夕方に勤労青少年ホーム「ソレイユ三条」で「地元野菜たっぷりミネストローネ」約170食、22日昼に農業体験交流センター「サンファーム三条」でミネストローネなど約100食を提供した。
22日のサンファーム三条では、色鮮やかな盛りつけと本格イタリアンの味に、「きょうはすごいですね」、「おいしかったです、残ったら夕飯にも食べたいくらい」と話す人もいた。
小松さんは、東京都目黒区のレストラン「GUSTO」のシェフ。厨房で地震関係のラジオをつけて仕事をしていた17日、ラジオから「三条弁」が聞こえてきた。三条市内の避難所からの電話中継で、初めて三条市に避難所が設置されたことを知った。
小松さんは、被災地の避難所で食べ物がないとの報道に、何かしたいと気をもみながらも、個人では現地での活動は難しいと考えていた。そこで知ったふるさと三条での避難所開設。「自分にできることから」と、すぐに地元の同級生で三条市で料理教室「ラ・キュイエール・トモ」を開いている高橋知子さんに三条市で炊き出しができないかと相談した。
高橋さんから三条市内の野菜や果物の生産者に声をかけると、「自分たちも何かしたいと考えていた」とダイコンやハクサイ、サツマイモ、ジャガイモ、ニンジン、ナシ、イチゴ「越後姫」などたくさんの材料を快く提供してくれた。
小松さんも炊き出しをすることを東京で話すと、都内のパスタメーカーがパスタ、オリーブオイル、トマトなどを提供してくれた。小松さんは日曜の仕事が終わり、午前0時半、自家用車にパスタなどを積み込んみ、三条へ向かった。
大量の調理のため、1日目は小松さんの母が園長の北陽保育園の調理場、2日目は高橋さんの料理教室を借り、調理は料理教室生徒さんや北陽保育園の栄養士さんの協力も得て、各避難所での配ぜんは農産物生産者の人たちも手伝い、大勢の協力があった。小松さんは22日午後、東京に戻る。